栃木県東部と茨城県西部の県境は低山が集まる丘陵地帯ですが、知る人ぞ知る日本有数のサーキット&テストコース密集地帯でもあります。長円形(オーバル/oval)コースばかり、しかもことごとく丘陵の上、という立地で、東西南北12mの間に3000m級テストコースとサーキットが四つも密集するという、世界的に見ても稀有な一帯となっているのです。
これだけ多くの自動車が集まる所を見ると、この一帯のガソリンはよほど美味なのか、バイクと車は高い所に登りたかる本能があるかのどちらかななんでしょう。

まず御前山に1985年、日野自動車が長円型の3000mテストコースを完成させると、以後、大宇宙の意思に導かれるかのように、この一帯に長円形テストコース&サーキットが集まり始めます。
1997年に日産ディーゼルがこれも3000m級の茂木試験場を建設(現在は日産自動車の所有)、その翌年1998年にはホンダがこれもツインリンクもてぎに4800mの長円型サーキット(通常のレイアウトもあり)を開設、最後は2005年に日本自動車研究所城里テストセンターが一周5500mという戦争でもやる気か、という巨大長円サーキットを城里に造り、これで関東北部長円コース四連星が完成する事になるのです。

沖縄南部巨大滑走路密集地帯もスゴイですが、このオーバルコース密集地帯もまた不気味です。航空写真とか見ると、なんか大宇宙の銀河群のようにすら見え、国民が知らされてないだけで、宇宙人への秘密メッセージになってるんじゃないの、とすら思えて来ます。…いや、ホントに。

しかもことごく山の上、というか山の奥なので地上を移動してる限りではまずその存在にすら判らない、空から見ないと気が付かないナスカの地上絵みたいなコースばかりなのも変な所。ねえ父ちゃん、あの山の向こうには何があるの?ははは、坊主、山の向こうには全長4800m級の国際オーバルサーキットがあるんだよ、何言ってるんだよ父ちゃん、頭大丈夫なの、といった会話が地元で交わされてないか不安になるほどです。



でもって、今回の栃木日帰り旅行2019で目指したのはホンダが経営するツインリンクもてぎです。
サーキットにレースを見に行ったわけでも走行会に参加したわけでもなく、ここにあるホンダの博物館、ホンダ コレクションホールの見学が目的でした。20年近く一度は行こうと思いながらもあまりに不便な場所で、2019年5月15日のこの日この時この瞬間まで未訪だったのですが、行ってビックリ、凄まじい展示内容と密度の施設で、これ、私が見て来た博物館では間違いなく日本最高峰の一つです。
それほどの施設ながら、平日の午後に訪問したら、お客さんは我々の他に8人だけ、というある意味スゴイ、という状況であり、これは未訪の人も多そうだ、という事で紹介記事にまとめる事にしたわけです。

が、本気でやるとスミソニアンのウドヴァーハジー、米空軍博物館に匹敵する強敵なので、今回はとりあえずざっとの紹介にします。特にバイク系はよく知らんので、軽く流しますが、それでも複数回に分けないと収まりません。それほどの施設なのでした。タイヤが付いてるものなら何でも好き、という日本人なら一度は訪問する価値があるでしょう。



大谷石採掘場跡訪問後、宇都宮でノンキに餃子三昧とかしてたので、到着は午後3時過ぎ。午後5時閉館なので残り2時間を切ってるわけですが、まあ余裕と思ってた我々は時間切れ直前までギリギリの見学を強いられる事になります。それほどの施設でした。
入館料はツインリンクもてぎの入場料、1200円に含まれてますが、別に駐車料金が1日1000円かかります。まあ、安いとは言いかねますが、それでも見に来る価値はあります。

ちなみに首都圏から行く場合、栃木という事で東北道経由と思ってしまいがちですが、実際は茨城との県境にあるため、常磐道からも行け、東京発ならむしろ常磐道の方がわずかに速いです。



入り口を入ってすぐは吹き抜けのホールになっており、ここに「おお、まさかあれは!」「知っているのか雷電」的な展示がズラリとならびます。
ちなみに3階建てで一階がホンダの製品の根源を求める、といった歴史的な展示と売店、二階が市販車と市販バイク、おまけで耐久レーサー系バイクの展示、三階が自動車、バイク共にレーサー系となっています。各階ともにすさまじい展示密度ですから、訪問時には覚悟が要ります。でないと死にます確実に。

NEXT