■これも冷戦



今回のトップバッターはこれ。冷戦の館にも居たF-82B。
B型ですから、唯一のマーリンエンジン搭載量産型(20機前後だけど…)のツインムスタングであり、
1947年の空軍独立前はP-82、独立後はF-82と機体名称が途中で変わってます。

F-82の解説はもういいでしょうが、展示の機体はちょっとした歴史を持つものでして、
1947年2月に、ニューヨーク〜ハワイ間の無着陸飛行に成功したベティー ジョー号です。
(記録樹立時の名称はまだP-82)
恐らくこれ、未だにレシプロエンジン戦闘機の飛行距離記録じゃないでしょうか。

その後、1957年にはこの博物に寄贈されてますから、
おそらく現存するツインムスタングの中では最もコンディションがいいものだと思われます。



ボーイング WB-50D スーパーフォートレス。
B-50は1947年6月に初飛行したB-29の改良型爆撃機で、B-36を補完する中型戦略爆撃として
アメリカ空軍が採用したもの。
1947年の段階で、すでにB-29クラスの機体は中型爆撃機になってしまっていたのでした。

主な改造店点としては、エンジンをB-36と同じ狂気のレシプロエンジン、R-4360に変更、
さらに機体構造が強化され、垂直尾翼も大型化されてます。
その程度だったら、例の全天候型迎撃戦闘機のように、新たな番号振らなくてもいいのでは…
という気がしますが、ここら辺りのアメリカ空軍の考え方はイマイチよく判りませぬ。

ちなみに370機前後しか作られてないのですが、戦略爆撃機を引退後、
給油機や気象観測器機に転用され、17年近く現役を続てけました。
(最後は金属疲労による事故機が出て全機強制隠退)
これはB-29はもちろん、実はB-36よりも後まで飛んでいたことになり、
アメリカで最後まで飛んでいたレシプロエンジンの戦略爆撃機となってます。
ついでに言えば、初飛行もB-36より後なので、アメリカで最後に採用された
レシプロエンジンの戦略爆撃機でもありますね。

展示の機体は、気象観測機に転用されたWB-50で、1953年ごろから36機がWB-50に改造されたとされます。
武装は当然全て取り去り、爆弾庫には追加の燃料タンクを搭載、長時間飛行を可能とし、
気象観測レーダー、そしてドップラーレーダーを使っての観測まで行えました。
空軍における気象観測は極めて重要な任務の一つだったのです。




ボーイング KC-97L ストラトフレイター。

B-29にはこれを輸送機に改造してしまったC-97という機体があるのですが、
それをさらに給油機に改造してしまったのがこの機体です。
ただし輸送機であるC-97はそれほど評判が良くなく、75機前後で採用が打ち切られるのですが、
そこから転用されたこのKC-97は大好評で、815機前後が採用されました。
アメリカにおける、最初に本格的生産された空中給油機でしょう。

ちなみにエンジンはB-50と同じくR-4360を搭載、
そこに最後のL型ではは補助のターボジェットエンジンまで積んだので
(写真ではちょうと見えなくなってる翼端に付いてる)
ある意味ではB-36によく似たエンジンの構成となっていました。

とりあえずジェット時代に合わせ、このL型(約80機のみ生産)から補助のターボジェットを付けたんですが、
それでも最高時速は644q/h、しかも補給中、ずっとこの速度で飛んでいたら
あっという間に自分の燃料が切れてしまいます。
なので実際の給油時の速度は500q/h前後だったと思われ、
さらにターボジェット無しの従来の機体だと、おそらく400km/h前後だったんじゃないでしょうか。
このため、ジェット戦闘機相手ではちょっと遅すぎたので、
間もなくジェット機であるKC-135(ボーイング707とほぼ同じ機体)が登場すると、
すぐに引退が始まってしまいます。
それでも州軍などでは1978年まで現役だったようです。
(ただし最後は給油機ではなく、救難捜索機として使われてたようだが)

写真の機体はオハイオ州の州軍で使われていたもので、
1976年に自力飛行でこの博物館まで飛んできたものだとか。



グラマンHU-16Bアルバトロス。

1947年に初飛行した水陸両用機で、これも水上に脱出したパイロット救助用に採用したもの。
朝鮮戦争からベトナム戦争に至るまで利用が続けられたようです。

展示の機体は空軍が最後まで使っていた機体の一つで、
双発レシプロ水上機における高高度記録をもってる機体だそうな。
1973年7月に高度32883フィート(約10023m)を達成したとの事です。


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