■落穂ひろい ベトナム編



まずはベトナム編から。
SUU-7クラスター爆弾散布装置(Dispenser)。
ロケットランチャーのように見えますが、そうではなく、榴弾を束ねたクラスター爆弾をばら撒く装置で、
実は右側が前で、こっちが後ろとなっています。
この後部の開口部からばら撒くようになってました。

ここに来るまで、こんな装置があるというのを知らず、あれま、こんなものもあったのかと思った品。



M-39A2 20oリボルバー砲。
ヴァルカン砲がその主流になるまで、アメリカ空軍は一時期、高速20o砲としてリボルバー砲を採用してました。
F-100、F-101に搭載された後、最後は安価な超音速戦闘機、F-5にも搭載されてます。
製造は自動車会社のフォードで、こんなものまで造ってたのかあの会社、という感じですね。



銃身は通常の機関砲と同じ一本なんですが、装填部がリボルバー形状になっていて、
こちらが高速に回転しながらバンバン弾を撃ち出す、という構造でした。

それで高速射撃ができるのか、とも思いますがベルト給弾よりは高速で、1500発/分の発射が可能だったとされます。
ただしこれ、アメリカ軍でおなじみの第二次大戦期の12.7o M2機関銃に比べれば倍近い速度ですが、
朝鮮戦争時代までに進化した12.7o AN/M3 機関銃では1300発/分あたりまで撃てましたから、それほど高速とも言えませぬ。
(その代わり口径のより大きい20oなんだけど)
ちなみに多銃身のヴァルカン砲だと6000発を超えて来ますので、どうも性能的に中途半端、という気はします。




DShK-1938/46 12.7mm 機関銃。
えらく長い名前のソ連製機関銃を、北ベトナム兵の皆さん(ベトコンかもしれないがキレイすぎるので)
が発射してるジオラマ展示。

あんれま、アメリカ軍機だべ、ほんだば撃つべ、といった感じのノンキな展示に見えますが、
12.7oなら当たり所によってはジェット機でも打ち落とすには十分で、これらが濃密に展開していたベトナムでは、
低高度の飛行はすなわち速攻で死を意味しました。
特に地上と連携するFAC機にとっては脅威で、馬鹿に出来ない存在だったのです。

戦闘機と同じくらい地上の対空砲火も脅威である、というのは第二次大戦のドイツ以来、
アメリカ空軍にとってはつきぬ悩みだった、と言えます。



ミグの射撃照準器。
左の17のは第二次大戦時の旧式サイトですが、右の21のはおそらく中にジャイロが入ったジャイロ照準器で、
おそらくレーダーによる測距もやってたんじゃないかと思います。
(アメリカ空軍はF-86の段階ですでにレーダー測距をやっており
朝鮮戦争で墜落機からこれを鹵獲したソ連がコピーした)

というかベトナムの時代に左のような旧式サイトで戦っていた北ベトナム軍もスゴイですが、
それに互角に近い戦いを強いられた“最新の電子装備満載”だったアメリカ空軍のヘタレぶりもわかるかと。
この辺りはパイロットの質でも電子装備の質でもなく、機体性能がキッチリと優劣をつけた戦争ではあったのです。
電子装備の優位だけで戦争には勝てん、といういい例でしょう。


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