■気球だってがんばった



第一次大戦では多くの飛行船や観測気球も使われてるのですが、現物で残ってるものはほとんどなく、
そんな中では貴重な展示が、これでした。
フランス製のカコー(Caquot)R型偵察気球で、アメリカ陸軍が戦場で使用したものですね。
ちなみに1918年からアメリカ国内でもライセンス生産してるんですが、
これが終戦までに戦場に届いたのかは不明です。

最大4000フィート、約1220mまで上がれたそうで、計算上は130q先まで見えた事になります。
当然、大気中の水蒸気、さらには丘陵などによって視界は遮られますが、
敵の陣地の塹壕の掘地図を作る、着弾観測をやる、といったレベルなら十分以上の能力がありました。
が、当然、敵の近所でこれを上げたら対空砲であっという間に落とされますし、
敵機から発見されても撃ち落とされるのを待つだけになります。
使いどころは難しいのです。

ただしアメリカ陸軍は勇気があるのか無謀なのか判りませんが、
対空監視にもこれを使っており、大戦中、11000機の敵機の発見をしてるそうな。

ちなみに展示のモノは、イギリスが何を思ったか1944年、第二次大戦中に
少数再生産したもので、1960年ごろまでパラシュート訓練や写真観測に使用していたもの。
1979年に展示が開始された世界唯一の現存機だとか。



ちなみに全長28mほどであるのですが、地上係留用の1200m分のロープを積んで、
2名の観測員、そして地上との連絡用電話を積むのが精一杯でした。
当然、操縦なんてできませんから、とにかく風任せで浮いてるだけ、という形になります。

といった辺りが第一次大戦の展示となります。
一部の機体を写真で撮ってなかったり、さほど興味がない機体は端折ってしまってますが、
大筋ではこんな展示、と思ってもらった問題ないでしょう。

とりあえず今回の本編はここまで、次回は大戦間の航空機となります。
この辺りが結構スゴイ、とうのうがこの博物館とアメリカの空の歴史の特徴でしょう。
お楽しみに。書く方は大変なので今から胃が痛いですが…


NEXT