■次は空だ



この展示室は上に回廊部があり、そこから見ると乗り物部屋はこんな感じ。
ちなみにここは例の博覧会会場だった時代の建物のままなので、広々とした展示室となってます。

上からぶら下がってる航空機を見て興奮するか、右下の乗機機関車に刻まれた“999”の文字で興奮するか、
あるいは左下に見えてる巨大鉄道模型ジオラマで興奮するかは人それぞれだと思いますが、
私なんかは、全てで大興奮ですな。

が、9年前に999号の横にあったロケット(笑)自動車、
アメリカ魂号こと「Spilit of America」が無くなってしまってました。
1964年当時の世界速度記録保持車なんですが、どうして無くなってしまったのかは判らず。
博物館のホームページに説明は無く、他の解説ページを見ても、今でもこの博物館にあるはずなんですが…
どこかに移動したのか、とも思ったんですが、少なくとも今回は見つけられず。



最初は、展示室の入り口付近にぶら下がってるピカード(Piccard)吊りカゴから。
戦前の1933年に61237フィート(約18665m)の高高度到達記録を打ち立てた、気球の吊りカゴ部です。
ちなみに、設計者は双子の兄弟、ピカード兄弟なのですが、その内の一人であるジーンは
奥さんのジャネットと夫婦で乗り込み飛行し、ジャネットは女性の最高到達高度記録保持者になってます。
(世界記録の時の搭乗者は別。アメリカの軍人さんらしい)

形状からして加圧されてたようにも見えますが、詳細は説明がなかったので不明です。



お次はここの目玉展示の一つ、ユンカースJu-87B2。
R2説もあるんですが(ほとんど同じような機体で翼内燃料タンクの拡張の有無が異なる)
ここではいくつかの理由から、B2説を採用して置きます。

極めてあっさりした展示ですが、世界で2機しかまともな現存機がスツーカの内の1機が、
軍事博物館でも、航空博物館でもない、この産業科学館にあるのです。
そしてB型、初期のスツーカとして唯一の現存機でもあります。
(もう一機はロンドンの空軍博物館にあり)

ドイツの初期の快進撃を支えた機体ですが、戦争後半では実用に耐えなくなっており、
このため、終戦時に残ってた機体は意外に多くありません。
この結果、あれだけ有名ながら、現存機には恵まれない機体なのです。
似たような機体に、Bf-110、He111があり、ドイツの初期の機体って、意外に残って無いんですよね。



この展示室の上には回廊部があるので、そちらに登ってみましょうか。



横から見るとこんな感じ。
機首部がゴツイ初期のスツーカの特徴がよく判ります。

展示の機体は1941年にイギリス軍がアフリカ戦線のリビアで鹵獲した機体。
どうも戦争中、アメリカで戦時国債をイギリスが起債しようとしたときに、
その宣伝を兼ねてアメリカに贈られた、という話があるようです。

かなりコンディションがいいので、一時はオリジナルの塗装も維持してる、という話があったんですが、
最近の話だと、どうも1974年にオシュコシュのEAA博物館がレストアをやって、
その時、かなり手が入ってる、という説が濃厚です。
個人的にEAAのレストアはあまりいい印象が無い、しかも適当な70年代という事で
どうかなあ、という気もするのですが、この機体はあまり近づけない事もあり、
パッと目では意外にいい感じではあります(笑)。

しかし初期のスツーカは、ホント、ゴツイですね。

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