潜望鏡は長かった



船体の横には潜望鏡の展示が。
レプリカですが、よくできていました。

Uボートの攻撃用潜望鏡はVII(7)型のモノが14mほどの高さがあり、
おそらくこのIX(9)型でも同じだったと思われます。
3階建てのビルに近い高さですから、艦外で見ると、ええ、こんな長いの、という感じ。
これが水上に出るのが潜望鏡深度ですから、水深12〜14mがいわゆる潜望鏡深度となります。



覗いて見たかったのですが、いい歳したオッサンから家族連れまで大人気で、見る事が出来ず。
まあ、ええわ、今回はこれで勘弁してやる。

二本あるのはたくさんの人が見れるようにとの気配り…ではなく、実際二本あったからでしょう。
一本は攻撃用潜望鏡で、水上に突き出してぐるっと回すと海上の360度が見えます。
目標に照準をつけるためのものですが、普通に観測用にも使います。
ただし上は死角になるため、上方向専用の潜望鏡、対空潜望鏡がもう一本ありました。

ついでにUボートには水上艦の射撃管制盤のようなアナログコンピュータ、
魚雷発射のための管制盤が搭載されてたんですが、ここの展示では見つけられず。
最高機密に近いものですから、真っ先に運び出されて研究されたのか。

ちなみに、この展示の潜望鏡はどっちがどっちなのかは、覗いてないので判りませぬ。



ホンモノの展示もありました。
ね、無茶苦茶長いんですよ、これ。
こちらは対空監視用の方の潜望鏡で、7.7mと攻撃用潜望鏡に比べると短くなってます。
というか、対空潜望鏡がそんなに短いとは初めて知りました。
直径は15pほどで、重量は全体で415sほどだそうな。
ちなみに腐食対策として、筒部はステンレス製。

これも真っ先に研究機関に持ち去られたため、長年行方不明だったのが、
2002年にサンディエゴの海軍施設で再発見され、ここに貸与されたのだとか。
(これに関しては、所有者は今でも海軍のまま)
ちなみに攻撃用潜望鏡は、未だに行方不明のままだそうな。



接眼部。
一番左上のレバーはフィルターの選択レバー。
対空潜望鏡は上を見るので太陽光を直接見ないようなグレーのフィルターと、
もやってるときに視界をハッキリさせるためのオレンジ色フィルター(どういう原理なのか不明)を
このレバーで装着できるようになってました。

左下の2番の番号が付いたノブは潜望鏡先端のレンズの角度を変えるもので、
これで真上から斜め上まで見る事ができました。
また、浮上できない状態で、現在地を確認するのに、これで星が見える角度を観測した、
と現地解説板であったんですが、ホントかなあ。太陽の南中高度くらいなら、ある程度の精度があったでしょうが、
星を見て緯度経度を出せるほどの精度あったのかなあ…。

真ん中は当然、接眼レンズ。その下のは倍率選択ノブ。
最低が1.5倍、最大が6倍まで変更が効きました。

右側のレバーは操作ハンドルで、折りたためるのは使用しないときは
筒に押し込んで収容するため。

ちなみに現地解説では全く触れられてませんでしたが、
デーンと付いてるシャモジ型の巨大な箱は写真撮影用の装置じゃないかなあと推測。
ただし攻撃用潜望鏡に撮影装置があったのは間違いないですが、
対空用潜望鏡にもあったかについては、確証無し…



その先端部。
ドイツ人はUボートの潜望鏡を“アスパラガス”と呼ぶんですが、なんとなく判るような。



先端部。この切れ目の中でレンズが動き、上空を見れます。
レンズ、意外と小さいなあ、と思ったり。
光学王国ドイツとはいえ、この大きさでは少しでも暗くなってしまうと、あまりよく見えなかったような気も。


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