■一度は言って見たい“メインタンクブロー、急速潜航”



その指令室のすぐ横には海図台が。
戦闘、航海、操船、といった重要な作業はすべてここで行われてたので、
水上の軍艦だといくつかに分散してる設備が全てこの狭い空間に集中しております。



各種パネルが光ってますが、ホントにこんな照明が入ってたのかは不明。
ただし実際に司令室内が薄暗かったのは確かで、このため艦長が何処に居るかすぐ判るよう、
例のクレーマーなどは白い帽子を被って一目で見つけられるように工夫していたとか。
ちなみに、艦長だけが白い帽子を被る、というのは当時のドイツ海軍の規定ではルール違反だったそうですが、
多くの潜水艦艦長は、それを無視して白い帽子で通したのだとか。

どれが何の計器なんだか、私にはよく判りませんが、とりあえず左から二番目のは機関出力の指示計器。
やかましいディーゼル機関の機関室では声で指示なんて聞こえませんから、
この指示計の針で必要な速度を指示すると、機関室にある全く同じ指示計器の針が同じ速度を指し、
それをみてエンジンの運転の調整をすることになります。



天井はすさまじい配管の嵐。
どれがどれやら、という感じですが、当時のUボートは損失は自分で修理して生きて帰る、
が鉄則でしたから、乗員はどれが何やら全て把握していたはずです。
すげえ世界だ、と思ったり。

ちなみに指令室は二階建てで、通常、艦長は潜望鏡がある上の階に居たはず。
浮上時に真っ先に外に出れるのもそこですしね。
ちなみに指令室周辺を英語では司令塔(Conning tower)と呼ぶんですが、
これがこの階層も含むのか、上の階だけなのか、よくわからず。



各所につながる伝声管。
普通の軍艦と違って、艦内全体がディーゼルエンジンと同居してるようなもんですから、
通常航行中は、どこまで声が聞こえたのかなあ、と思わなくもないですが。
もっとも、戦闘中は基本的に水中で電気モーター推進ですから、逆によく聞こえたのか。



最後の最後に電気をつけてくれました。
画面中央奥にある樽型のものはおそらくジャイロコンパス。
その右の大きなバルブのハンドルは二つしかないので、前後タンクを使っての
トリム(前後の傾き調整)用ではないか、と思うんですが、確証は無し。

ちなみに潜水に使うメインタンクの注水タンクは左右に分かれ、さらに前後で5分割されており、
それぞれにバルブがあって、誤操作防止のため全て色分けされていた、
との事ですがそれらしいものが見当たらず。
上の階にあったんでしょうかね。

ついでに潜水に時にメインタンクに一気に水を入れるわけでは無く、
前から順番に入れて、最後部、艦尾にあるタンクは水没するまで使いません。
これは船体を横にしたまま沈没するように沈むより、艦首からドボンと潜った方が早く潜れるからで、
艦首を下げて、ケツを上げる姿勢を取るための工夫でした。


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