■今回は中央部甲板から



というわけで、今回は甲板中央部から、艦橋周辺を見て、そのまま尾部まで一気に見学と行きます。

中央甲板にあるのは 対潜ロケットという必要以上に男気あふれる兵器システム、
アスロック(ASROC/Anti-Submarine Rocket 対潜ロケットの頭文字)の発射装置です。
これはアメリカ軍時代、1960年代初頭の改修工事で搭載され、以後も最後まで搭載されてました。
なので艦首部二階の対潜魚雷発射管と合わせ、数少ない(笑)ホントに積まれていた兵器です。
既に時代遅れという事で、退役時にわざわざ取りハズして回収されなかったんでしょうね。

これは魚雷の後ろにロケットを付け最大10q先までドーンとすっ飛ばし、
遠くの潜水艦も確実に沈めてやれ、という豪快な兵器で、
空飛ぶ魚雷発射装置、といった感じになってます。
8個の四角い筒に一発ずつそのロケット付き対潜魚雷が入っていて、
これを上下二本ずつを一組として、上に向ける事ができ、
その状態で放物線を描くように撃ち出します。
(2本分の箱がそれぞれ独立して動く。ちなみに1本ずつも撃てる)

先端の魚雷は先に見た対潜魚雷発射管に使われてるのと同じのが使用可能、
という話もあるんですが、詳細は不明。
ちなみに追尾装置付きの精密な魚雷を高速度で海面に叩きつけては
無事では済まないので、ロケットを切り離した後はパラシュートで減速します。

ついでに1960年代初期、つまりアメリカ軍が海も空も陸も仲良くみんなキチガイだった(笑)
時代の兵器ですから、当然のごとく核弾頭も搭載可能で(笑)、本来はこっちが主役でしょう。
10q先まで飛ばせるのは艦がその爆発に巻き込まれるの避けるためじゃないかと思われます。

ちなみに当サイトでは何度も書いてるように、
大気と違って密度の高い水中の衝撃波は壊滅的な破壊力を持ちます。
よって水中での核爆発は広範囲にある水中のあらゆるものを圧潰するので、
その破壊力は対空核ミサイル(笑)の比ではありません。
逆に言えば極めて実用的であり、確実に敵潜水艦を潰せます。
よってアメリカ海軍は本気で使う気だったはずです。
ついでながら、核機雷はパラシュート無しで撃ち出すので、意外に耐久性があったんでしょうね。

ただし当然、台湾海軍に核弾頭は無いので、どこまで実用的だったのはよくわかりませぬ。
同じ事は日本の海上自衛隊にも言えますが(笑)。



その横に置いてあった訓練用のロケット。
本来なら手前の黒い部分が魚雷部、後ろのフィンがついてる所がロケット部。
赤い部分の途中まで魚雷が入ってたはずで、青い部分にロケットモーターがあります。
ただし訓練用ですから、けっこう適当な構造になってます。
その奥の壁に見えてる丸いフタは、予備のロケット&魚雷セットを入れてある弾倉部。

ちなみにこの模擬ロケット、この展示施設用に置いたんだと思ってしまいますが、
それは大間違いで(笑)なぜか知らんが現役時代からここにこうして置かれてるのが写真で確認できます。
…なんで(笑)? 訓練用時の説明用?



その横にあった何かの基部。デリック(クレーン)のものに見えますが、詳細は不明。
アスロックは発射後、後部から再装填するんですが、その作業にデリック(クレーン)は必須なので、
そのためのものじゃないかと思いますが。

奥に見えてる窓付きの小屋(?)はアスロックの発射管制室でしょう。
初期のアスロックシステムは艦内のソナー室、そしてこの発射管制室が連携して運用してました。
発射については専用の火器管制装置(一種のコンピュータ)があるんですが、
この部屋にそれが入ってたはずです。



そこから艦首方向を振り返ると、階段があり、どうやら艦橋まで行けるみたい。
ちなみにこの辺りは建造時には魚雷発射管が置かれていた場所です。



その階段を上った先にあるCR-201妨害ロケット発射装置。
これも台湾の国産兵器でチャフなどをばら撒いて敵のレーダー誘導を妨害するためのもの。
艦橋の左右に置かれてます。
1989年の台湾での改修時に積まれたものだと思います。

本来はレーダーと連動するはずですが、そちらの装備はどうも見当たらず、
取り外されてしまったんじゃないかと思われます。 


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