■台北の基礎知識

さて、ようやく台北に入ったわけですが、今回の行動範囲の簡単な解説を。
今回の旅行は初訪問であり、時間も無かった事から、
台北市の中心部、昔からの市街区をざっと回っただけで終わってます。

台北の中心は極めて狭く、縦横1500m前後のエリアに、
主な商業地区、さらに行政施設、そして台北の玄関口である
台北駅までが入ってしまってます。
ざっとこんな感じですね。

後ほどこのエリアを出て巨大な夜市に行くのですが、それはまた後で。



わずか築30年未満で全て取り壊されてしまった台北城(中国語の城は城塞都市の意味)の
城壁ですが、その跡地に児玉源太郎率いる日本の統治組織は
ぐるっと市内を大きく囲む大通りを造りました。
現在はそこから郊外にまで延長された道路が続くものの、
この基本部分はほぼ原型のまま残っており、
これを見ると、かつての城壁に囲まれた台北市の中心部が浮かび上がって来ます。
(東京で言ったら皇居周辺を一周する環状一号線に似てる)

正確に南北を向いてないのは、元は湿地帯で建設できる場所を選んだため、
という話もありますが、どうも土地の吉凶を占う道教の風水的な判断もあったようです。
日本でも一部で流行ってる風水は道教の習慣の一つで、台湾はまさにその本場ですから。
南北の門の位置が変にズレてるもの、風水じゃないかなあ、これ。

日本の統治時代、当初、この城塞内に行政機関が置かれたため、
現在も中華民国総統(大統領に近い行政の最高責任者)の職場、官邸である
総督府を中心に、軍部を始めとした政府の主要な機関が集中してます。

そのすぐ北側に台北の玄関口、台北駅があります。
これは皇居や国会議事堂まで若干距離を置きながら、東京の中心部に造られた
東京駅とほぼ同じ立地条件でしょう。

ちなみに台北駅も韓国のソウル駅とならんで日本型の鉄道駅で、
市内に主要な鉄道駅はここだけ、国内のあらゆる場所にここから行けます。
市内の外縁部に行き先ごとに幾つも駅を造る欧米型の鉄道ではありません。
この点、同じアジアでも日本がその鉄道開発に関わらなかった
上海やバンコクでは欧米型になってますから、世界的に見ても、貴重な日本型の鉄道駅です。
(香港はちょっと特殊な日本型だが、あれは海のせいで他に駅が造れなかったから)

ただし、駅周辺では新幹線を含めた全ての路線が地下に潜っており、
周りには列車どころか線路すら見当たらない、という変な鉄道駅でもあります。
最初行った時、全く線路が無いのでここが駅だとは気が付きませんでした。



全ての線路を地下に埋めてしまってるため、上から見るとダサい建築の
巨大な体育館にしか見えない台北駅。
交通渋滞対策なら、高架にしたほうが予算は安いはずですが、
シェルターとしての利用とか、軍事的な意味もあるのか?

さらには周辺もご覧のように殺風景なんですが、実は主な商業施設は地下にあり、
おそらく日本の新宿駅、東京駅、名古屋駅、大阪駅、
といったあたりに匹敵するであろう、という巨大地下街があるのです。
これも世界的に見て日本以外では非常に珍しいものです。

シェルターを利用した地下街はソウルにもありますが、規模が小さく、
日本の都市部の地下街とは基本、別物ですしね。
ちなみに地下街は駅の南側、そして駅舎を挟んで反対の北側にそれぞれ展開しています。

ここでもう一度、同じ地図を。



旧城門の内、唯一壊されてしまった西門の西側周辺にあるのが
台北最大の商業地区、西門(シーメン)の繁華街です。
地下鉄の西門駅の西に広がる一帯なのですが、
今回は、ここのど真ん中に宿を取り、この商店街、そしてすぐ東の官庁街を見て歩くことになります。

ここも厳密にはいくつかの商業地区に分かれるようですが、
実際はほぼ一つの繁華街と見ていいでしょう。
幾つかの大型雑居ビルがあり、多くの路面店が並ぶ賑やかな、台北最大の商業地区となってます。

同じ非共産主義の中華圏でも、香港の繁華街とは異なり、
日本的な展開を見せてる地区なので、あっという間になじむ事ができます(笑)。
この点は巨大な建物の市場が林立したり、アーケードが立ち並ぶ
ソウルとも明らかに異なる部分で、日本的、としか言いようがありませぬ。
(ソウルでも明洞は明らかに日本型の繁華街だが)

ちなみにバンコク、上海は巨大な田舎町、
というのが実態で繁華街の規模では東京はもちろん、
大阪、香港、台北とも比較になりません。



いくつかの商業ビルと路面店が密集するという、日本型の繁華街である西門周辺。

台北の場合、東京や大阪と違って、大きな繁華街が複数あるわけではなく、
ほぼここだけが、街中の大型繁華街のようです。
大規模は商業地帯は、後は台北駅周辺の地下街くらいだと思われます。

雰囲気的にはソウルの明洞、あるいは東京の新宿駅東口周辺が似てます。
新宿駅東口周辺に比べると規模は小さく、歩くとすぐ縦断できてしまいますが、
本気でじっくり見て歩くと、軽く半日コースです。

といった感じで本日の旅行記、行ってみましょうか。


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