■ポーという名の寺

さて、バンコクを代表する観光地、日本で言ったら京都の清水寺、
奈良の東大寺&大仏殿みたいな位置づけになるのが、
今回訪問するワット ポーです。

アユタヤ王朝時代、バンコクが首都になる前からあったお寺らしいですが、
遷都後にはすぐ隣に王宮が造られたことから
王立寺院のような地位を与えられ、その保護下に置かれてました。
このため、バンコク市内でももっと規模が大きく、壮麗なお寺の一つとなってます。

ちなみにバンコク市内で一番古いお寺、という解説も見ますが、
建立はせいぜい1680年代と見られており、
日本だと日光の東照宮よりも後の時代の建物、となります。
さらに、ここの最大の売り物、巨大な涅槃仏を含め、
仏塔などが立ち並ぶ現在のような形になったのはラーマ3世時代、
つまり1830&40年代の19世紀前半、日本で言ったらせいぜい幕末ですから、
それほどの歴史をもってるわけでもなかったりします。

が、それでも妙に中国南部の寺院の影響が見られたり、
とにかく派手派手で、タイ仏教の特徴が感じられたりもするので、
見て損は無いと思われます。

ちなみに、そのラーマ3世による近代改修直後ともいえる
1856年に例のアメリカの外交官、ハリスがここを訪れてます。
彼は涅槃仏をはじめ、その装飾の豪華さに驚いており、
さらにバンコク市内の他の寺院に比べ、清掃が行きとどいて清潔だ、
という興味深いコメントも残してます。



最初は例によって現地案内図にて、ワット ポーの概要を見ておきましょう。
敷地はきちんと東西南北を向いていて、中央に本殿がある、
という構造はアユタヤ時代の寺院と同じです。
が、中央の本殿、地図では番号1番の建物はアユタヤのような塔ではなく、
日本のお寺と同じような中に仏像を納めた礼拝堂となっています。

ちなみに主要な建物は西側、チャオプラヤー川方向に集中してます。
一番右の奥で29番の番号が付けられてるのが、有名な黄金の涅槃仏の拝殿、
その左に多数並んでる仏塔は、歴代王の慰霊用のものらしいです。
墓所なのかとも思いましたが、詳しい説明が無く、詳細は不明。

見学は有料で、今回はチャオプラヤー川から一番近い入り口から入場、
白い線が今回分の移動ルートで、とりあず涅槃物を見て、
歴代王の仏塔に向かう途中まで、ですね。

余談ですが、地図の一番下に腹筋してる人みたいなマークがありますが、
これマッサージ屋さんで、お寺の中にマッサージ屋がある、
という妙な施設でもあります。

ついでに後で調べてみたら、どうもワット ポー内にはマッサージ学校もあり、
タイの古式マッサージの元締め、というような存在らしいです。
イマイチ、お寺とマッサージの関係がよくわかりませぬが…。

ちなみに本殿と仏塔の間にある20番の建物はマッサージに関する
文献の書庫だそうな。
どうも中国の針灸みたいな地位にあるみたいです。


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