■市場失敗



でもって屋台系の店を覗いてみましたが、
残念ながら価格を表示してる店が一軒も無く、
ここでの食事は断念。



というわけで市場前のバス停で39番のバスに乗って
いよいよ空軍博物館を目指します。
でもって、今回も車掌さん不在、運賃無料なのでした。



このF-86Lのいる交差点を超えたら間もなく空軍博物館。
こんなのがヒョイと置かれている点が、この辺りが空軍銀座の証です。

ちなみに鼻面にレーダーを積んだ全天候型迎撃戦闘機F-86、
セイバードッグは大きく3種類あります。
まずアメリカ本国と、そのお古をもらった日本が使用した基本タイプのD型、
その火器管制装置(FCS)を安価で単純、かつ故障が少ない(笑)ものに交換、
さらに20mm機関砲も搭載し(D型はロケットランチャーのみ)
NATO諸国に輸出した安価版のK型。

そして最後がD型のあまりの扱い難さに手を焼いたアメリカ軍が、
約980機前後を一斉にアップデート改修したL型です。
この時には火器完成装置と同時に主翼の形状変更も行われてるので、
かなり大規模な改修でした。
(逆に言えばアメリカ軍が5年でサジを投げたF-86Dを10年近く運用した
航空自衛隊はスゴイし、気の毒でもある…)

タイ空軍が運用したのは、この最終進化型のLで、
アメリカ空軍以外で運用していたのはおそらくタイ空軍のみでしょう。

ただしL型は高度に電子化された全天候型戦闘機ですから、
地上のレーダー基地網と地上の迎撃誘導コンピュータ網が必須で、
そんなものどこ探したってありゃしないタイで
どんな運用がされたのかは謎です(笑)。

そして、この交差点の展示機体、パイロンに
サイドワインダーを積んでまして、ここから推測される
運用はかなり悲惨だったんじゃないかなあ、と思われるところ…。

ソ連の核爆撃機を確実に撃墜しなければならない全天候型迎撃機は
大型機を一撃必殺で落とす能力が要求されたため、
強力なロケットランチャー、あるいは空対空核ミサイル(涙)という
通常の戦闘機とは全く異なる兵器を搭載しています。
よって、それを運用する火器管制装置(FCS)もそれ専用になっており、
D型は最後まで機関砲もサイドワインダーも
その運用能力を持たず、L型にも無かったはずです。

ただし、先に述べた輸出用の簡易版セイバードッグ、K型は
20mm機関砲を搭載していたことからわかるように、
基本的に火器管制装置(FCS)は空対空戦闘用でした。
よって通常のF型セイバーなどと同じく、一部の改造によって
サイドワインダーを搭載する事は可能です。

なので、どうもタイに供与されたL型は、最新の火器管制装置(FCS)は
全部外され、単純なK型のものに換装した上で
タイ空軍に供与されたのではないの、というのが私の仮説です(笑)。

これって、機関銃なし、ロケットランチャーの火器管制装置なし、
ですから、2発のサイドワインダーによる対空戦闘しかできない、
という事を意味し、それってかなりイマイチなセイバードッグ、
という事になりますが…。



その次のバス停で降りたのですが、ちょっと早く降りすぎましたね。
空軍博物館は、この画面の一番奥の右手で、もう一つ先のバス停が正解。
まあ、それでも数百メートルの距離ですから、歩いてしまいましょう。

ちなみにここの左手に見えてる敷地は空軍士官学校、
すなわち空軍のエリート養成施設です。

12年前、道に迷ってここに来た事がありました。
その時、正門に居た衛兵の人に空軍博物館はどこアルか?
と聞いたところ、そんなものは存在しない、
と断言され、ショックを受けて2分ほど歩いたら、
道路の向こうに空軍博物館が見えて来た…という思い出の場所です(笑)。



で、その士官学校を覗くと、なんだあれ(笑)。
10年前、最後の訪問の時には無かったものだぞ。

これも空軍サッカースタジアムのようなハリボテ?
しかしそれにしてはよく出来てるような…


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