■メモリアル

さて、今回からタイのナショナル メモリアルの見学です。
Memoarial というのも何気に日本語に訳しにくい単語で、
慰霊碑と記念碑両者の意味があります。
(日本の墓場業者が墓地をメモリアルと呼ぶのは最低な誤訳)

アメリカなんかだと前者のニュアンスが強く、
戦争の犠牲者、つまり国のために死んだ人々を忘れない、
といった目的で造られた施設が多いです。
イギリスの場合、そもそもそういった施設を見た事がありませんが、
各地の街中に出兵した人々を追悼する彫像が置かれてました。
当然、両者は純粋な慰霊施設で、戦争博物館などは
別に独立して置かれています。

ところがアジア型の慰霊施設は、戦争博物館を併設してる場合が多く、
日本の靖国神社(なんで慰霊施設が宗教施設なんだ?)、
韓国の戦争記念館、そしてこのバンコクのナショナルメモリアル、
と多くの国でそうなってます。
ここら辺りは東西文化の違いでしょうか。

さらに靖国神社はそれほどでもありませんが、
韓国やタイの場合、戦争になったらお前らも国のために死ねよ、
ガタガタ言うなよ、という教育施設をかねており、
ここら辺りもアジアのメモリアルの特徴かもしれません。



現地の地図で見るとこんな感じで、三角型の敷地内にいくつかの建物があります。
その中心となってるのが今まで何度も出てきたトンガリ屋根の軍の歴史と博物館棟、
そして屋外に並ぶ兵器展示たちで、これらを中心に見て行くことになります。

ちなみにここ、朝9時に開くものの、午後3時には閉まってしまいます。
さらに土日は休みとなっており、ぜひここで働かせていただきたい、
と思わせるくらいの運営状態なので、お出かけの際はご注意アレ。



見学に入る前に例の屋台で買った食事としましょう。
串ダンゴと、オマケで付けてくれたキュウリの浅漬けです。

ここは全体に芝生がキレイに手入れされており、座って休むにはいい感じです。




今回の串ダンゴはこのようなもの。
左はキャベツのような葉野菜で巻いた肉団子、
右はどうもノリのようなもので巻いたこれも肉団子。
なかなか美味でした。



さて、最初は屋外展示から見て行きましょうか。

まずは野砲。
いきなりこれがクセものでした(笑)。

現地の説明によると75mm L45 80型 榴弾砲(Type 80 Howitzer)。
1937年採用らしいので、大戦前のシロモノですが、
私はそんな名前の榴弾砲を知りません(笑)。

そもそもこの場合のL45はおそらく砲身長の事でしょうから、
75mmで45口径と、かなり強力なものに見えます。
…となると、Howitzer(榴弾砲) ではなく普通にGun(砲)では?
(大まかに分類すると、長砲身から高速で撃ち出し
砲弾の運動エネルギーで目標を破壊するのがGun、
衝突による運動エネルギーには期待せず、
短砲身から低速で砲弾を撃ち出し、
砲弾内の炸薬による爆発を主に利用するのがHowitzer)

さらにその砲口制退器、戦後のアメリカ式では?
なんなんだ、これ(笑)…。

しょっぱなからまいったなあ、と思いつつ帰国後調べて見ると、
ようやくボフォース社が少数製造したL45 75mm砲というのがあり、
スウェーデン、アルジェリア、フィンランド、そしてなぜかタイで
少数が使用された、という事が判明。

そして写真から判断する限り、展示の砲はタイヤと砲口制退器が、
戦後のアメリカ製のものに付け替えられてますね。

最初から何というマニアックな兵器を展示してるのよ…。


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