■本館はラストで盛り上がる

さて、では本館の続き、ラストスパートと行きましょう。



アメリカの空飛ぶデブことリパブリック P-47Dサンダーボルト。
が、実はこの機体がデブに見えるのは横から見たときのみで、
上下、あるいは正面方向から見るとごく普通の大きささしかありません。
つまり横に太いのではなく、縦に長い、というのが正解。

軍用機でこの手の機体は意外に多く、
F-6Fヘルキャットなどもデブな印象がありますが、
あれも上下、真正面方向から見ると意外にスマートです。
戦後のジェット機ではこの後で登場する
イギリスのBAC ライトニングなどもそうで、
後日、コスフォードで初めて真下から見る事になるのですが、
かなり細身の機体で驚きました。

この点は爆撃機なども同じでB-24なんざ、
どこに爆弾積んでんだという感じですし、
B-17も下から見ると意外にスマートなのです。
戦略爆撃機は後に与圧キャビンを採用、
B29以降は耐圧のため円形ボディになって行きますが、
それ以前の機体は基本的に縦に長いので、
横方向には意外に細かったりします。

P-47の場合、R-2800という大きめの空冷エンジンに加え、
単発機にターボチャージャーを搭載してしまったため、こんなスタイルに。
航空機用のターボ過給機はダクトの取り回しなどもあり、大型なのです。
それがこのマッチョな外見につながるのですが、
P-47の場合、見た目通りにパワフルで頑丈だったため、
戦争後半は主に地上攻撃に投入されて行きます。

イギリス空軍もアメリカから貸与されてこの機体を使ってたそうですが、
投入した先はアジアのビルマ、当然相手は日本軍となります。
1944年からハリケーンの後継機として地上攻撃任務に配備されたとか。

で、写真の主翼の下に見えてる国籍マーク、
通常のイギリス機のものとは異なるのは、
SEACこと東南アジア司令部配下の機体だったから。
この地域のイギリス機は日本機の日の丸と見間違えるのを避けるため、
中心の赤丸部分を抜いてありました。

ただし、展示されてる機体は終戦間際にアメリカで生産され、
アメリカ国内を転々とした後、
1952年にユーゴスラビアに供与された機体だとか。

ついでにサンダーボルト、現存機を見る限りでは、
とても仕上げが丁寧な戦闘機でして、
機体表面の外板が凹んでたりガタガタだったり、という機体は
あまり見た記憶がありません。

なので毎回、遠くから見ると、これレプリカじゃないのか、というくらいに
キレイなものばかりで、プラモデルで造るにはいい機体かもしれません。
外板はガタガタか凸凹なのが普通、という
アメリカ海軍機やFw190、日本機などに比べると、
全体がツルっとしており、非常に無機質な感じを受けるのがP-47なのです。



ホーカー テンペストII(2)。
例の世紀の失敗作、ホーカー タイフーンの最終進化形がこれ。
あのアゴ付きマッチョから進化したとは思えないスマートなカッコよさがある機体です。
もっとも、ほぼ全面的に造り直しちゃってるのですが。

でもってタイフーンから進化したこのテンペスト、
少々ややこしい事に、空冷エンジン型のII(この機体)と、
液冷エンジン型のV(アゴラジエーターあり)がありました。



ちなみにこれが液冷型のV(5)。
こっちは液冷エンジンなので、アゴ付きラジエータも相変わらずがんばっており、
なるほど、ホーカー タイフーンの後継機だ、と納得が行きます。

が、上の二つの写真は同じ機体です、といわれてもなあ、という感じですよね(笑)。

ちなみに、こちらのVは五式戦やムスタングがあった
Milestones of Flight の展示棟で天井からぶら下げられててます。
地獄の毒キノコのような派手な塗装は、戦後、標的曳航機として使われたので、
誤射で撃ち落されないよう、目立つ塗装をしてあったため。

で、このテンペストは主翼まで作り直してしまったこともあり、
高速性にすぐれた優秀な戦闘機だった、
とされますがほとんど活躍してないので、実際のとこはよくわかりません(笑)。
ただ、その高速性を活かし、ドイツのV-1飛行爆弾の撃墜において、
大きな戦果をあげているのは事実です、

とりあえず、それなりに優秀だったのは間違いないようですが、
時代はもうジェット機でしたしねえ…。



戦後のイギリスを代表するジェット戦闘機のひとつ、ホーカー ハンターのFGA9。
ミーティア、ヴァンパイアの後継機として採用され、
イギリス空軍だけで1000機も購入した、
という話ですから、そりゃ戦後のイギリス国家経済は傾くよな…。

でもって、これは対地攻撃型らしいです。



海でボートを運用してれば地上では戦闘車両を運用してるのが
イギリス空軍でして、これはハンバーMk.III-A 軽偵察車。
ここの解説板ではハンバー装甲車(Humber armoured car)
となってますが間違いで、
これは軽偵察車(Light Reconnaissance Car)の方でしょう。

イギリス空軍はRAF連隊(RAF Regiment)と呼ばれる
独自の基地防衛用の地上兵力を持っており、
そこで戦中の1941年から53年まで使われた車両とのこと。

戦争中、この連隊が基地防衛につくのはあくまで海外派遣の時のみで、
この塗装からして北アフリカ戦線に派遣された時のもの…
と思ったら、同じ塗装のまま、ノルマンディ以降と思われるヨーロッパで
撮影された車体があるので、そこら辺は適当なのか…。



こちらは救急車、オースチンK2。
各基地に配備されてたものでらしいですが、迷彩塗装の必要、あるのか?

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