■イギリスの飛行機の歴史



見上げると、天井から怪しげな飛行機の数々が(笑)。
一番手前のはフランスの航空宇宙博物館、ロンドンのRAF博物館にもあったブレリオのXI(11)。
それほど有名な機体だとは思ってなかったんですが、
どうもヨーロッパでは初期の飛行機を代表する機体とされてるみたいですね、これ。

その左下に、青いモンゴルフィエ兄弟の熱気球の頭だけが見えてますが、
これはもういいよね(笑)。
ついでに、ここでもシャルルの水素気球は無視されてました。

ちょっと脱線。
そのシャルルと、アイルランド人のボイルが完成させたのが、
有名なボイル=シャルルの法則なんですが、実はこのボイルも貴族です。
(協力して研究したわけではなく、結果的に同じ現象を追っかけ、後で統一された)

アイルランドの貴族ってのはイギリスから入植したプロテスタントの連中ですから、
ある意味、イギリス人なんですが、どうもイギリス本土の貴族とは異なり、
自分の子供が科学、技術者の道に入るのに抵抗は無かったみたいですね。
(ただしホイルの一家がアイルランドに入るのはクロムウェルの侵攻の前から)
もっとも、ボイルはアイルランドを最後まで気に入らず、イギリスに帰ってしまいますが。

で、帰国後、気が付いたのですが、熱気級の上にいる三葉機(主翼が三枚ある機体)、
どうもこれ、ロー式三葉機(Roe Triplane)みたいです。
1909年、イギリス人が造った飛行機としては最初に飛んだのがこの機体。
しまった、これしか写真撮ってないや(笑)。

その名の通り、アリオット ヴァーダン ロー(Alliot Verdon Roe)さんが
木造骨組みの機体に紙を貼って造ったものです。

で、このローさんの名字、ミドルネーム、名前の頭文字を合体させてみましょう。
…はい、わかりましたね、イギリスを代表する航空会社の名前、アヴロ(Avro)となります。
この人が造ったのがアヴロ社なわけです。



私もこの博物館に来て初めて知ったのですが、
機関銃で有名なヒーラム・マキシム(Hiram Maxim)さん、
彼はイギリスにおける航空機開の先駆者の一人だったのだそうな。
もともとはアメリカ人なんですが、発明した機関銃がアメリカでは売れず、
イギリスに移住してようやく商業的に成功する事になるのでした。

で、ライト兄弟の初飛行の9年前、1895年に蒸気機関による航空機をイギリスで製作します。
これが、上の写真に写ってる機体なんですが、実に全長44m、全幅34m、
総重量が3.5トンでエンジンの機関士を含めて4人乗り、という凄まじいシロモノでした。
まあ、ガソリンエンジンを使わないと、こうなっちゃうんでしょうね…。

ちなみに、これは第二次大戦期の4発エンジン重爆撃機B-17を完全に上回るサイズですから、
無茶と無謀が団体でやってきた、みたいな機体といえます。

とりあえず浮くことは浮いた、とされてますが、
その後に彼が出した飛行機械に関する特許は拒否されてますから、
まあ、公平に見て失敗だった、と言っていいような気がします。




イギリスのツワモノどもが夢の後。
基本的には全て1900年になる前の時代のものみたいです。

左の機体、ちょっと飛びそうに見えますが、垂直尾翼は無く、翼面は平面でした。
さらに動力が見当たらず。
…ダメでしょう。

ちなみにmこうして見ると、
ライト兄弟のプロペラって、ホントに革新的だったんだなあ、とわかります。



続き。
いかにも飛びそうに無い多葉機(やたら主翼がある機体(笑))とならんで、
ブーメランが展示してあるあたり、微妙に投げやりなものを感じたり…。



ここにもありました、リリエンタールのグライダー。
尾翼の構造とかは、完全に新時代の設計ですよね、これ。

あ、でもこれ運転席(?)の前に、墜落時の衝撃吸収用突出部がありますから、
フランスで展示されてたのとは、別の型かな。


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