■がんばってこんな感じ



その前にあった展示。
なんだこりゃ、と思ったら羽布へのドープ(DOPE)塗装のやり方でした。

当時、十分な強度を持ち、量産ができ、かつ加工が簡単な金属となると、
鉄系統のものしかなく、
これでは重過ぎて空なんか何年経っても飛ぶことはできませんでした。

なので、第一次大戦の時代の航空機は基本的に軽量な木製、
しかも骨組みのみが木製で、機体の表面は布張りのものとなっています。
当時の非力なエンジンでは、よほど軽くないとまともに飛ばないのです。
さすがに熱を持つエンジン周りなどは金属製ですが、ごく一部に限られ、
その機体表面のほとんどは布でした。
その航空機に貼られてた布が羽布(はふ)で、一般には亜麻製の布が使われます。

が、さすがにこれだけでは耐久性に問題があるので、
ドープと呼ばれる一種のニスでこれを塗り固めるわけです。
それの手順を示したのがこの展示で、左端がただの羽布、右が1回だけドープを塗ったもの、
その次がさらに上塗り、つまり2回ドープを縫ったもの、となっています。
乾かしては塗り重ねる、というウルシ塗りみたいな作業になってます。

ちなみに、後に出力の大きなエンジンが登場すると、
骨組みだけは鉄製の棒を使う機体が出てきますが、
それ以上は重量的にはきつく、機体の表面は羽布貼りのままでした。

今のような全金属製の航空機が登場するのは、
軽量で加工がしやすい、という理想的な合金、ジュラルミンがドイツで発明された後で、
アルミを主とし、銅、マンガン、マグネシウム等を使って造られるジュラルミンは現在でも
航空機の主要材料となってます。

ついでに、第二次大戦期の戦闘機は一般に全金属製ですが、
尾翼の舵、昇降舵、さらに主翼のエルロンなどは、ワイアで人力操作だったため、
軽量化の必要があり、ここら辺は第二次大戦中でも
多くの機体がジュラルミンの骨組みに、表面は羽布貼りでした。




で、これが完成状態。
4回ドープを塗り重ねた上に、アルミ塗料を塗りつけて、防水性と強度を確保してます。
…結構、根気の要る作業ですね…。



この展示棟はエンジン関係もかなり充実していたのですが、
全部紹介するのは無理なので、代表的名なものを。

まずはロールス・ロイス イーグル エンジン。
当時既に高級車メーカーとして、十分な実績を積んでいたロールス・ロイスですが、
第一次世界大戦の勃発を機に、一気に仕事がなくなってしまいます。
でもって頭を抱えていたところに軍用機エンジンの生産の話が舞い込み、
以後、大戦中は全力で航空機エンジンの生産に邁進することになります。

ここら辺が、高級車メーカーながら航空機用ジェットエンジンも造る、
という後のロールス・ロイスのルーツとなってます。

写真は大型機用に開発されたイーグルエンジン。
ロールス・ロイスお得意の空冷V12型です。
が、実際は小型の単発戦闘機などにも採用され、広く使われてます。
後のロールス・ロイスの航空エンジンのルーツとなったエンジンですね。



こちらは直列6気筒のホークエンジン。
本来は飛行船用のエンジンとして開発されてるのですが、
後に戦闘機のBE2eなどにも搭載されています。

このエンジン、どうもドイツ製エンジンの影響があるようなデザインです。
実際、ロールス・ロイスが航空機用エンジンの開発を始める時、
当時たまたまロンドンにあったドイツ製のエンジンを参考に取り寄せた、
という話を何かで見た記憶があるので、なんらかの影響はあったのかも。

ちなみに、ロールス・ロイスは第一次大戦中にもう一つ、
ファルコンというシリーズのエンジンも造ってます。
が、その結果、イーグル、ホーク、ファルコンという“カッコいい名前”を
最初に全部使ってしまったため、以後のエンジンの命名には苦労する事に(笑)。

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