■空を飛ぶのはドイツだ



こちらもアチコチでおなじみのV1飛行爆弾ことFi103。
こうして見ると、主翼、分厚いです。

何度も書きますが、これとあのV2ロケット、搭載できる炸薬はほとんど同じなんですから、
V2ってのはあくまで心理的な影響が最大の目的、という兵器なんでしょうね。

ついでに、これ、どうもオリジナル塗装ではないか、という気がします。



飛行物体は、主翼の位置を支点(上側に吊り上げる力が加わるポイント)に、
機体の前後の重さが釣り合う必要があります。
でないと水平に機体を保てず、まっすぐ進むことすらできません。

で、V1尾部にあるパルスジェットエンジンは、一見するとデカイですが、
中身はほぼ空っぽの筒みたいなものなんで、
これだけ後ろに置かないと、機首部の850kgの炸薬とのバランスが取れなかったんでしょうね。

ちなみに、これの機体部分の設計は、当時フィゼラー社に居た、
Me109&110の生みの親、ローベルト・ルッサーが行っています。



これも有名どころ、第二次大戦期のドイツの主力戦闘機の一つ、
フォッケウルフ Fw190のA8。

これは親子飛行機爆弾、ミステルの操縦機だった機体で、
このため、武装は全て外されています。

ミステルと言うのは、双発の爆撃機の機内に大量の爆薬を積み、
その上にこのFW190を乗っけて(笑)、こっちで操縦しながら目的に接近、
そこで下の爆撃機を切り離して目標に突っ込ませる、という
ドイツならではのビックリドッキリメカでした。

が、このミステル、1944年以降、結構な数が実戦投入されてたりしますから、
何かよほどドイツ人の気質に合っていたんでしょうかね…。



真後ろから見るこんな感じ。
Fw190はエンジンの大きさに比べて、機体をえらく絞り込んでるので、
後ろから見るとハゼやナマズのようなアタマでっかちなんですが、この角度だと、
ちょうどエンジン部分が隠れてしまって、そこら辺があまりわかりませんね。



第一次大戦期のイギリスの戦闘機、ソッピース キャメルの2F1。
例のスヌーピーの愛機として知られる機体(笑)ですが、これはその海軍版。
当時の海軍がなんで戦闘機が欲しいと思ったか、というとドイツの飛行船対策なのでした。
飛行船で軍艦が沈められるか、聞かれれば、疑問だとは思いますが、
イギリス海軍としては大マジメで配備を進めてます。

当時のイギリスにあった空母は巡洋艦を改造したフューリアスだけですが、
あまり知られてない運用法として、
巡洋艦などにカタパルト付きボート(Lighter/barge)を牽引させ、
そこからこのキャメル発進させる、というのがありました。

この無動力のボートはせいぜい長さは10m程度の、ホントにどこにでもあるような
ハシケ、無動力の牽引運送用ボートで、これに1機だけキャメルを積み、
そこからカタパルトで撃ち出す、というかなり乱暴なものでした。
現物は、以前、テームズ川から回収されたのが、
イギリスの艦隊航空部隊博物館(Fleet Air Arm Museum)に展示されてたはず。

なので任務終了後は着水して回収、というかなり無茶な運用を行うことに。
当然、羽布張りですから、着水時に破損、さらにエンジンにも塩水が入ってしまいますから、
帰港して修理しない限り、もう任務には使えなくなります。

で、展示のこの機体は1918年8月11日、巡洋艦HMSリダウト(Redoubt)に牽引された
ハシケ、L5号から発進して艦隊に接近しつつあったツェッペリン飛行船、L53を迎撃、
これを撃墜してるんだとか。
ちなみに、これが第一次大戦における、最後のドイツの飛行船の撃墜になってるとの事。


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