■国王陛下と女王陛下の巡洋艦 HMSベルファスト



さて、このロンドン一等地に展示されてるのが巡洋艦HMSベルファスト(HMS Belfast)なんですが、
どうしてこの船がこんな場所に?と聞かれるとよくわかりません(笑)。

ドイツのシャルンホルストを沈めた北岬沖海戦(Battle of the North Cape)
などに参加はしてるんですが、決してイギリスを代表するような船でも、
歴史的な活躍をした船でもありません。
どうも1960年代、ようやく第二次大戦を振り返る余裕が出てきた時期に、
イギリスは当時の戦艦はおろか巡洋艦すら保存してないじゃん、という事に国民が気がついて、
アメリカに比べると、非常に寂しい限りじゃないか、となったようです。

そもそもドイツの海軍なんてあるんだかないんだかよくわからん、
という相手でしたから、イギリスの誇りだったはずの海軍も、陸軍、空軍に比べると、
イマイチ影が薄く、熱心な保存運動が無かったんでしょうね。

で、当時、ポーツマスで予備役艦として保管されており、比較的状態のよかった
このベルファストが保存艦とされる事になったみたいです。
そこら辺の事情もちょっといろいろあるんですが、今回はパスしましょう(笑)。
ついでに、なぜロンドンど真ん中に?という疑問は謎のままです…。

HMSベルファストは、排水量11500トンの軽巡洋艦で、
開戦直前の1939年8月に配備された当時の新鋭艦でした。
ちなみにベルファストというのは北アイルランドの中心都市の名で、タウンクラスと呼ばれた
都市の名前をつけた一連の巡洋艦の中の一隻です。
ただし、実戦部隊に配備されたわずか3ヵ月後に機雷を食らってしまい、
1942年11月まで、実に丸3年間、修理にかかってしまいます。
ちなみに、彼女の建造期間もほぼ3年なので、時間だけみれば新造するのと同じ事に…。

その後は1943年12月、イギリス海軍がドイツの戦艦シャルンホルストを沈めた
北岬沖海戦に途中から参戦したほか、
ノルマンディー上陸線では例によって地上への艦砲射撃を行ってます。
朝鮮戦争にも派遣されてますが、これも地上への艦砲射撃が任務だったようです。

その後、1963年に予備役艦にまわされ、保存されていたところを
先に書いたような事情で保存艦とされる事が決定、
1971年10月から、ここで博物館をやってるわけです。



さて、では今回の見学ルートを。
ちなみに、この案内板、艦内各所で見かけたのですが、前回は無かったような…。

この案内板のタイトル、Life on boardは直訳すると乗艦中の生活、
といったとこなんですが、これはこのボードがあったエリアがそういった場所だったため。

でもって船体内は5階層、上の艦橋部分が4階層で、全部で9階層に分かれます。
今回は艦の後部、下甲板から乗り込んで、船体前部へと向かいます。

軍艦らしく艦首が持ち上がってるため、上甲板(灰色で塗られた甲板)は船体前部にしかないのだ、
後部の下甲板(木の甲板)は途中で艦内に入ってしまうのだ、
つまり甲板は前後で2段に分かれてるのだ、というのに気がついてもらえると、
後の説明が楽になるので、よろしくお願いします(笑)。



ついでに、このベルファスト、船内各所に右側のような文字板が見かけられます。
なんじゃこれは、というと現在位置表示板なのです。
最初の2は上から2番目の階の意味で、その次のアルファベットは住所を示します。
船首から船尾までをAからSのブロックに分割し、
各アルファベットで自分の位置を知ることができます。

なので、2Mだと、艦内2階層目(上甲板の下、つまり下甲板)の真ん中よりちょっと後ろあたり、
という事になるわけです。

ついでに、船体内は上から番号が振られてますが、艦橋は逆に下から番号がつきます。



こんな感じですね。

上甲板が1、その下にある下甲板が2、
以後、艦底に向けて3、4、5となりますが、
艦橋部分は下から数えて、01、02、03、04となるのです。
0をつけるのは船体内の階層との区別のためでしょう。

おそらくイギリス軍艦は全てこのシステムを採用してたんじゃないでしょうか。

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