■北の国から来たのよ



さて、そこから先は朝鮮戦争以後続いてる、
北朝鮮との国境ライン、いわゆる38度線の揉め事の展示でした。

今回の連載の冒頭で紹介した1968年の青瓦台襲撃未遂事件をはじめ、
実にいろいろと北朝鮮は韓国に対してちょっかいを出してます。

これは例の金ちゃんが、理由は不明なれど自分は韓国でも大人気で、
キッカケさえあれば(大統領が暗殺されるとか)民衆が蜂起して韓国滅亡、
と本気で信じていたから、という妙に理解に苦しむ理由があったりします。

が、この展示では北朝鮮側のチョッカイばかり紹介してましたが、
例の実尾(シルミド)事件を見ればわかるように、
実際は韓国側も結構いろいろチョッカイを出していたりします。

正確な資料は未だに公開されてないと思いますが、
一説には1953年の停戦から1990年代までに韓国側の工作員の死者は
7000人を超えている、と言われ、
これはベトナム戦争での韓国軍の死者より多いのです。
年間辺り200人近い死者ですから、ほとんど準戦時体制とも言えます。

屋外展示で見た357号警備艇が北朝鮮との銃撃戦で
6名の死者を出しながらワールドカップのニュースに埋もれてしまった、
という話は日本人からすると信じられませんが、
ある意味、今さら驚くほどの話ではなかった、という事なのかもしれません。



まずは休戦ラインを超えて進入するために北朝鮮が掘って掘って掘りまくった
スパイ進入用、あるいはいざ戦争となったら、
そこから攻め込んじゃおう、というトンネル、いわゆる南侵トンネルの展示。

現在まで4本が韓国軍に発見、没収(笑)されており、
一部は現在、観光用に公開されてる、という話です。



そんな北朝鮮の工作員が所持していたらしいピストル。
もはやおなじみ、トカレフのTT-33ですね。
しかしこの記念館、没収したTTピストルの数では、
警視庁とどっこいどっこいかもしれません。



これももはやおなじみ、PPSサブマシンガン。
ここまで来ると工作員というより破壊工作員、という感じの武装ですね。



一体全体、どこで使うつもりで持ち込んだんだろう、
という対戦車手榴弾、RPG-43。
第二次大戦から使われていた歴戦の手榴弾です。

下の缶詰のような部分が成形炸薬弾になっており、
これを戦車の装甲に密着するようにぶつける事で
目標の装甲に穴を開けて高温、高圧の噴流を内部に送り込みます。

その高温高圧の噴流の破壊力こそが、この兵器のキモなので、
なるべく弾頭が装甲に対して垂直に接触する必要があるわけです。
斜めだと威力がそがれる上に、内部に達するまでの
装甲の厚さ(距離)が増えてしまう事になりますからね。

このため、手でもって放り投げるのではなく、
缶詰状の弾頭下のカップ部分を持ってピンを抜くと
中にはいったスプリングが開放され、
その力でピョーんと弾頭が打ち出されて飛んでゆきます。

そんなわけで、対装甲車両以外では使い道がありません。
…ホントにこれ、どこで使うつもりだったんでしょ。

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