■もう少しだけ基礎知識

前回の基礎知識編で書き漏らしてしまった部分があるので、
今回の最初にちょっとだけ追加を。

まず、朝鮮半島の言語と文化。
過去にいろいろあった関係で様々な問題を抱える日本と韓国ですが、
世界中で兄弟文化と呼べる関係にあるエリアは
日本にとっては朝鮮半島のみです。

日本も朝鮮半島も強烈な中国文化&文明の影響下に育った地域ですが、
言語、風習などはより北方、いわゆる満州からモンゴルエリアから来た部分が多く、
両者は互いによく似た部分を多く持ちます。
特に百済の滅亡以後、飛鳥時代から奈良時代にかけて一体どれだけ渡ってきたのか
という位の人数が半島から日本に入って来てますから、その影響は小さくありません。

例えばハングル文字を見るとコリャかなわん、と思ってしまいますが、
朝鮮(ハングル)語と日本語は驚くほど良く似ています。
モンゴル周辺から世界に広がったアルタイ語属の中でも
日本語はやや特殊なんですが、朝鮮(ハングル)語とだけはよく似てるのです。



今さら新しい言語を学習しよう、という歳でもないのですが、
もしもう一つ、外国語を習得せよ、となったら迷わず朝鮮(ハングル)語を選びます。
漢字があるから中国語とかが楽そうと思ってしまいますが、
あれは日本語とは根本的に別の言語です。

対して朝鮮(ハングル)語は文字さえ覚えてしまえば、
極めて日本語に近い言語で、習得はそれほど苦労しないでしょう。
…とりあえず私はやりませんけどね(笑)。



まず、文型。
日本語と同じアルタイ語族なので(日本語をアルタイ語族にしない学者もいるが)、
基本的な文型は主語+目的語+動詞となります。
これが英語や中国語では主語+動詞+目的語です。
そして、Be動詞のような存在が無いことも共通です。

日本語では動詞がない文章が普通に存在しますが、
英語ではその場合Be動詞を使い、中国語では是(シー)などを
動詞の代わりにして、基本的な文型を必ず維持します。
が、朝鮮(ハングル)語も動詞がない文章は普通にあるのです。
それどころか、日本語をホントにそのまま直訳できます。
ちょっと脱線してみましょう。

例:私は日本人です。

正しい日本語ですが、動詞はどこにもないですね。
これが英語だと

I am Japanese.

で、amというBe動詞を使うことで主語+動詞+目的語の形を作ります。
余談ですが、中学生とかに英語を説明するとき、
このBe動詞を理解させるのが一番厄介で、個人的は〜です、〜ますと訳しちゃえ、
と教えてしまうことにしてます。

次に中国語。

我是日本人。

我が私で主語、日本人が目的語ですから我日本人でも意味は通じそうですが、
中国語ではこういった文章では動詞部分にBe動詞のように是の字を入れます。

最後に朝鮮(ハングル)語。
ハングル文字は打てないのでカタカナで書いてしまいます。

チョ ヌン イルボンサラミム ニダ。

この場合、まさに日本語の直訳でして、
チョ(私) ヌン(は) イルボンサラミム(日本人) ニダ(です)。

となります。
売れないSF作家が作った日本語構造の人造言語みたいな感じですね(笑)。
日本人が外国語を習う場合、日本語の特殊構造との違いにまず戸惑うのですが、
朝鮮(ハングル)語に関しては、この最大の難関がないわけです。
もちろん、そのまんまというワケではないですが、それでもよく似ています。

特に興味深いのは日本語の特徴と思われがちな、
語尾の変化によるニュアンスの違いです。
〜です、〜ます調といった変化が朝鮮(ハングル)語には存在しており、
これが〜ニダ、〜エヨ、などになるわけです。
(ただし語尾変化はトルコ語などにもあるが、それほど変化しないはず)

昔、朝鮮(ハングル)語を習ってる人からこの事を聞いたときはかなり驚きました。
日本語の文型に近いのはモンゴル語とトルコ語だけだと思ってたので、
ある意味ちょっとショックだったわけです。
まあ、お隣の国なのに、これだけ情報が無い、という部分にも驚いたのですが、
ここ数年は芸能関係などがガンバってるようで、
朝鮮半島の情報もだいぶ増えましたね。

脱線ついでにもう一つ書いておくと、最近、都内では
トルコ系の人たちがやってるケバブ屋さんが急速に増えてますが、
あれ、言語的に日本語は覚えやすい、というのに
トルコ人の皆さんが気が付いてしまったからではないかなあ、と思ってます(笑)。



もう一つ、前回書き忘れた重大なこと。
韓国と日本には時差がありません。
全く知らなかったので中国と同じだろうと時計を1時間ずらしてしまってたのですが、
空港の時計を見てビックリ、日本時刻じゃあないですか。

位置的には沖縄辺りと経度は一緒なので、確かに問題ないのですが、
これにはちょっと驚きました。
とりあえず東京から見れば遥かに西ですから、当然、日没時間が大幅に遅くなっており、
夏至の月である6月だと夜8時くらいまで明るいです。
となると、沖縄ってこの時期同じくらい日没が遅いんだな、
と妙なとこで感心したりしてました。

ちなみにソウルより東、広島辺りと同じ経度にあるロシアのウラジオストクの時刻は
なぜか日本より1時間早いので、ここら辺りは完全にカオス状態ですね(笑)。

ついでに全然関係がない話ですが、中国は朝鮮半島からインドに至るまでの
広大な国土を持ちながら時差がない国です。
北京を基点に時刻を決定してるので、日本に1時間遅れとなっており、
このため西のハズレ、カザフスタン国境を越えるただけで時間が2時間進むそうな(笑)。


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