■食事の結論



さらにデグーの食事ではもう一点、注意する点があります。
カルシウムです。

デグーのデータを見た事は無いのですが、比較的近い種であるモルモットなどは
腸におけるカルシウムの吸収の抑制が効かず、片っ端からこれを吸収してしまいます。
その後で不要な分を尿から排出するため、尿道結石になりやすいという特徴があるのです。
デグーの尿には何種類かあり(私が確認したのは3種類)
その中の一つは白っぽくて、木板の上などにされると後に白い膜が残りますから、
おそらくカルシウムの排出だと思われます。

このため、尿道結石の恐れが強い生き物であると考えるべきであり、
あの小さな体では手術に耐えられないと思いますから、これの予防には気を付けねばなりません。
この点で厄介なのは、デグーを飼う場合、主食の一つにせざるを得ない牧草に
カルシム含有量の高いものがあるのです。
とりあえず日本でペットのエサ用に手に入る牧草としては大きく二つがあります。

■イネ科系 チモシー
■マメ科系 アルファルファ


この二つなのですが、この内、マメ科系のアルファルファは
カルシウム含有量がイネ科系のチモシーに比べると2倍以上となってしまっています。
厄介な事に、牧草としての栄養価はアルファルファの方が高く、
デグーも好んで食べてくれるのですが、通常は与えない方がいいでしょう。

もう少し、デグーの食事条件を考えてみましょう。
まず生物に必要な絶対要素の一つ、
たんぱく質を造るアミノ酸は例の体内細菌による繊維質の発酵で自作可能らしく、
この点は別に与える必要は無いと考えていいようです。
ただし高タンパクな大豆などは好物なので、たまに与えてもいいと思います。

さて、もう一つの絶対必要栄養素、ビタミンCはどうなのか。
哺乳類でこれを自主生成できない代表格が人とサルの一部、
そしてコウモリとモルモット(テンジクネズミ科)ですから、
比較的モルモットに近い種であるデグーも気になるとこころです。

が、原文を読んでいないものの、デグーはL-グロノラクトンオキシダーゼを持ち、
自分でビタミンCを生成できる、とする論文があるそうです。
(Ontogenetic development of l-gulonolactone oxidase activity in several vertebrates/
ファイルの場所までは見つけたが、一般人は全文を読む事できず)


どの程度の生成が可能なのかは判りませんが、
とりあえず市販のデグー用ペレットなどにもビタミンCは入ってますし、
さらにキャベツなども与えて置けば、ほぼ問題ないでしょう。
あまり気にする必要は無さそうです。


(ここより以下は飼育開始から4年以上経った2021年に加筆修正済み)

なので、デグーの食事で注意する点としては、

■糖質が微量である

■一定量、20〜30%の繊維質を含むものが好ましい

■カルシウムは少なめの方がいい

■以上の条件を満たしながら、牧草などの単純な食事に偏らない


と言った感じになってくるわけです。
さらに言えば生物である以上、ナトリウムが必須であり、
通常は塩分として摂取する必要があります。

ところが塩分は植物を枯らしてしまうため、牧草、種子類にはほとんど含まれません。
野生の場合、土などから摂ることができますが、飼育下では無理であり、
よってナトリウム(塩分)を含むペレットが必須となるのです。
草食だから草だけ与えとけばいい、とは決してならないのに注意してください。

以上の点を踏まえて、ウチの場合は以下のようなエサを1日の1匹分としてやってます。
この場合、純粋に栄養的な面だけでなく、同じエサばかりだと連中は飽きる、という点も考慮してます。


■総カロリーの半分以上に当たる分(30Kcal/約8g)は牧草のチモシー。
ただし連中はかなりの量を食べずに残すので必ず倍近い量、一日15g前後与える。

■デグー用ペレット(ウチではデグープラス 5粒 約5.5Kcal)。

■オヤツとしてヒマワリの種15個前後(約12kcal)
 + ピーナッツ一個か乾燥大豆二粒(約6kcal)

これは手渡しで与え飼い主のありがたみを叩き込むのにも使います

■特別ボーナスとしてニッパイのハムスターフード一粒を2日に1回(約10Kcal)

■週に数回、植木の葉っぱ、乾燥させた野菜くずなど(カロリー不明)

以上でおおよそ一日約55Kcal となります。
とりあえずこの食事を続け、一か月前後、数日おきに体重を測ってみて、安定してるようなら問題ありません。
ただし体重は個体差があるうえ、デグーは生後10か月以上まで成長を続けるので、
単純に体重が増えたから減らす、というのは危険です。

筆者の経験上も、食べすぎより少なすぎの方が多く、
特に多頭飼いの場合、一匹だけ好き嫌いが激しくて体重が減ってる、という場合もあり、要注意。
連中はキライだと思った食べ物は体重が減るほど空腹でも食べませんから、
何かキライなものがある個体には、別のモノを与えてください。

ここで注意したいのは、牧草は少し多めに、場合によっては2倍くらい入れてやる必要がある点です。

デグーは与えた牧草のかなりの部分を残すのが普通なのです。
しかもエサ箱から掃き出してしまってる事も多く、一見すると、あ、全部食べたか、
と思わせて置いて、実は半分ちょっとしか食べて無い事が珍しくありません。





牧草が散らかっており、まだまだ十分な量があるように見えますが、
この状態で8時間以上そのままなら、それはもう食べないと思っていいです。
もったいないですが、一定時間ごとに、決まった量を無条件で与えてください。
(最終的に一日の必要量の2倍を毎日。上で見た配分だと1日約15g)

ちなみに残す量にも個体差があり、さらに多頭飼いの場合、
早く食べないと無くなる、という切実な問題から意外によく食べたりもします。

が、いずれにせよ、“エサが無くなったのを確認してから次のエサをやる”では
間違いなく必要な栄養量を確保できなくなるので、絶対にやめてください。
もったいない、は連中には通じないのです…。

また、大量にドサっとまとめて与えてしまうのも、避けた方がいいでしょう。
デグーは大きめのエサ箱だとその中に入って食事をするのですが、
食事の最中でもフンとオシッコをするため、自分で自分のエサを食べれなくしてしまうのです。
最低でも毎日、できれば朝晩二回に分けてあげるのが理想です。


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