さて、お次はほぼ真後ろから。

注目点はコクピットのキャノピー(天蓋)部で、
機体の左右にわずかにハミ出してるのがわかるでしょうか。
これがスピットというかイギリス機の特徴ともいえるキャノピーで、
横から見ると普通のキャノピーなんですが、前後から見ると、左右に膨らんでいて、
そこから後部を見る事が可能になっています。

同じファストバックスタイル(コクピットの後ろまで胴体が続いてる)であり
絶望的に後部視界がない、という点では共通だったドイツのMe109が
胴体と面一の単純なキャノピーだったのと対照的な部分です。



ちなみにスピットファイアのキャノピー(天蓋)は鋳型が残ってるのか、
あるいはレストア用に新たに型が造られたのかわかりませんが、
今でも大戦機のメンテナンスを業務とする会社で製造されてたりします。
写真は、そんな新しく造られたものの一つで、
ロンドンの科学博物館(Sience museum)で展示されてたもの。



正面から見るとこんな感じ。
前後の枠が機体への取り付け部ですから、その左右にはみ出してる部分が、
後ろを振り返るために確保された空間、という事になります。

こうして見るとあまり広いものではないのですが、効果は意外にあったようで、
後にアメリカのP-51B&Cがイギリスにレンドリースされた時、
RAF(イギリス空軍)はそのキャノピーを片っ端から、
こういった膨らみ有りのものに交換してしまいました。
(B&Cは、後のD型のような水滴キャノピーではなく、スピットのようなファストバックスタイルだった)
それが、いわゆるマルコムフードと呼ばれるキャノピーです。




ちなみに、同じような後方視界の問題を抱えていたイタリアのMc.202では、
ご覧のように胴体に隙間を開ける、
というアヴァンギャルドな手段で対策としておりました。

…あくまで私見ですが、イギリスの皆さんの方が三倍くらい冷静で頭がいいように思います…。



お次はほぼ真正面から。

プロペラスピナーの直後、機体前部が意外と角ばった構造なのを見といてください。
胴体前部が円筒形になり、そのまま滑らかにスピナーに繋がってるわけではないのです。

その機首横から飛び出してるエンジンの排気管は、いわゆる魚の尾、フィッシュテール型なんですが、
これがかなり機体表面から離れた位置まで飛び出してます。
フィッシュテール型はエンジン排気を推力として利用しようとして開発された排気管なので、
機体表面にある気流の流れが遅い層の影響を嫌ったんでしょうかね。

が、衝撃波のパルスを伴って排出される(当時はほとんど理解されてなかったが)
エンジン排気相手にそんな工夫をしても意味がないように思えますから、
単純にコクピットに排気が流れるのを嫌ったのかもしれません。


NEXT