■スピットファイアデータ編 その1 Mk.I、II、V&おまけ

というわけで、スピット各タイプのデータを掲載していきたい。
基本的にイギリス空軍が行ったテストからデータを引用しているが、
オリジナルのシートのコピー(写真)を手に入れられなかったものは、
Web上で公開されている、テキストデータ化されたものから引用した。
なので、「元データの転記ミス」&「私自身の転記ミス」の
2重のミスの可能性は残る。
なんで「これこそが決定版」を名乗ることはできないが、
すくなくとも日本語でこれだけのデータを整理、掲載するのは初めてだろうとは自負している。

最初はスピットMk.I 3兄弟ともいえる、マーク1から5まで。
先にも書いたが、この3機はエンジン交換以外、事実上、同じ機体だ。
ここで、実機を見てみよう。




 まずは元祖、Mk.I。



お次はダメな跡取り息子の典型、Mk.II。



スピットの躍進を決定づけた三代目、Mk.V(5)。スピットって徳川家だったのか…。


さあ、違いがわかりますか?
私はわかりません(笑)。
さまざまな資料をあたって、それぞれの特徴を探して見たんですが、
スピット、先に生産した機体を後から改良しちゃうことも多く、判断材料が極めて少ない。
特にこの3兄弟はまったく同じ機体にラジエターとオイルクーラーまで同じ配置。
とりあえず、絶対見分けられるポイント、と思われるのは以下の通り。

●木製の2枚プロペラならMk.I 初期型(笑)。
●20mm機関砲の筒が片翼に2本(全4本)あればCウィングなのでMk.V(5)。
●補助翼(エルロン)が金属製で羽布貼りでなければMk.V(5)。


こんなとこですかねえ…。
特にMk.IIの特徴、とされてるものは、Mk.Iの後期型にも多く見られるので、
この二つのタイプの識別は、ヒヨコの雌雄を決するより困難でしょう。

が、機体後部にあるシリアルナンバーが見えれば多少、話は別で、
最初のアルファベットが「K,L,N」のどれか一文字ならMk.I、シリアルP7000番台ならMk.IIです。
もっともそれ以外のナンバーの方が圧倒的に多いので、気休めにしかなりませんが…。

ま、スピットファイアのタイプが見分けられないからといって、人生に何ら影響は
ありませんから、気にしないで行きましょうね(笑)。


■基礎データ
とりあえず、Mk.Vまでの基本的なデータを見ていくだべさ。

まず、燃料タンクはコクピット前の部分に二つにわけて搭載されており、
上のタンクが48ガロン、下が37ガロン入る。
このガロンは英ガロンで、アメリカの単位とは異なるので注意。
計85ガロンで386.4リットル搭載できるのだが、
テストレポートを見ると、大抵84ガロンまでしか積んでないので、
実際にはそれが満タン状態だったと思われる。
ちなみに「自動再密閉タンク」、いわゆる銃撃で穴が開いてもゴムなどが溶け出して、
自動的に穴をふさいでしまう防護機能(self sealing)は下段にしか施されていない。

参考までに、P51Dムスタングは胴体と両翼で計269米ガロン、
すなわち1018リットル(!)積んでいたから、
スピットファイア、かなり見劣りする搭載量である。
ちなみにゼロ戦は22型で580リットル前後。
うーん、マーリン大食いだからねえ。

エンジンオイルはMk.II に搭載されたマーリンXII(12)で
5.8ガロン(26.37リットル)を必要とし、
マーリン45あたりまでなら、だいたい同じ搭載量のはずだ。
オイルクーラーは主翼下の円筒状のもので、
あの中に2台縦置き(タンデム)で設置されている。



■Mk.I三兄弟共通の機体下部。
車輪の後ろ、右翼下にある四角い箱がラジエター。
左翼下面に微妙に見えてる細長い筒状のものが
オイルクーラー。

車輪の出し入れは油圧式で、エンジンからポンプ用の動力を取っている。
フラップ、ブレーキ、機銃の装填などには空気圧を用いており、
これまたエンジンからポンプ駆動の動力を得ている。
なので、マーリンエンジンはプロペラをぶん回すという本職以外にも、
過給器(スーパーチャージャー)、油圧ポンプとエアコンプレッサーを
駆動していることになる(多分、発電機も)。
スーパーチャージャーはエンジン出力の5-7%近くのロスにつながったようだが、
油圧とエアコンプレッサーがどの程度エンジン出力を食ったのかはちょっとわからない。
根拠はないが、車でエアコンのコンプレッサーを駆動するとちょっとパワーダウンするは、
燃費は食うは、というあの感じに近いのだろう、多分。

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