■三菱 雷電21型(J2-M3)
Mitsubishi
Raiden
type21(Jack)/J2-M3
海軍の局地戦闘機として開発されのがこの雷電。
局地戦闘機というのは、端的に言えば基地防衛用とでも言うべき機体で、
航続距離なんていらんから、とにかくチョッパヤで上空に上がって、高速性をもって敵機を迎え撃つ、という機体。
サッカーでいえばディフェンス要員ですな。
日本海軍の航空部隊は、空母からよりも地上基地からの運用がメインでしたから、
基地防衛機という、どこの海軍でいらっしゃいますか、という機体の開発を行ったわけです。
で、いろいろあって、開発は遅れに遅れ、実戦投入されるころには、
基地防衛というよりは殺到する米軍機相手の本土防衛がその任務となっていました。
南無〜。
基本的に1930年代のヨーロピアーンな薫りのする設計コンセプトで、悪くはないんですが。
さすがに1944年にデビューする機体としては、ちょっとアレです(涙)。
まあ、この機体が実戦に投入された時、
その敵は最強の爆撃機B29&存在そのものが反則なP51になっていたのも気の毒な点ではあります。
このコンビに対抗するにはMe262かスピットファイアのMk.IX(9)でもなければ無理でしょう。
こちらを見てもらえれば、雷電のおおよその性能がわかると思いますが、
実は設計コンセプト通り、それなりにチョッパヤの上昇力、加速力、速度を持っています。
高高度性能を除けば、まあ悪くない性能でしょう。
が、実戦ではイマイチ、イマニ、イマサン、イマ(以下略)の活躍しかしてません。
とりあえず、総生産機が500機以下ってのは、連合軍あたりでは「ついうっかり間違えて造っちゃった、テヘ」
ってなケースで出てくる程度の数ですから、事実上、戦力になってない、ってのもあるでしょうが。
が、やはり日本機共通の弱点(ジェットエンジン前のドイツもだけど)、
エンジンの高空性能の無さが目につきます。
5500mあたりが性能限界で、昭和19年実質デビューというのは、
中国の野球チームが突然大リーグに放り込まれるぐらいの実力差を抱えてます。
そらケチョンケチョンにされますな。
ちなみに、雷電、比較的積極的に排気タービンにトライしてるんですが(実戦レベルには至らず)、
高ブースト圧エンジンのノッキング防止に必要なハイオクガソリンがないのに、どうする気だったんでしょうね、これ。
飛行中、ずっと水メタ噴射をして温度を抑える方向で行く気だったのか?
うーん、よくわからん。

■アメリカ カリフォルニア州 プレーンズ オブ フェイムにて撮影
この機体は、現存する唯一の雷電。民間施設であるプレーンズ オブ フェイムの所有機です。
米軍がテストした21型は2機あって、内1機はフィリピンで鹵獲され、現地で試験されてそのままにされちゃった3008号機。
で、多分もう一機がこの3014号機なんですが、戦後、米軍が持ち帰った機体で、
しばらくはロサンジェルスで展示されてたのを、プレーンズ オブ フェイムの創設者、
マロニーが引き取ってコレクションに加えた機体らしいです。
ちなみに、えらく古い航空雑誌で「オンタリオ航空博物館に11型雷電あり」
みたいな記事が載っていたのを見たことがあるんですが、オンタリオ航空博物館というのは、
このプレーンズ オブ フェイムの前身ですから、おそらくこの機体の事でしょう。
少なくとも11型を米軍が鹵獲していた、という話は、私は見たことがないです。
ちなみにこのオンタリオは、カナダではなくてカリフォルニアにある街で、ちょっとした空港があります。
で、1970年ごろの段階の写真を見る限りでは、それなりのコンディションだったようで、
状態は結構いい、と判断してよい機体だと思います。
その後、大分手を入れてしまってるなあ、という印象はありますが…。

当時のテストパイロットだかの「胴体内で宴会が開けそうなくらい太ってる」
というコメントの印象が強かったんですが、実機は小さいです。
まあ確かに太いんですが、米軍機と比べてしまうとなんてことない。
それより極端に後ろに寄せられたコクピットが印象的です。
こら、視界悪いですな。パイロットの座る位置はほぼ主翼の後縁あたりですから、
離着陸時の地上方向の視界、さらいには飛行中の下方視界は、
主翼にさえぎられてしまって、ほとんどゼロでしょう。

排気管がキレイに一定間隔で配置されてるのが印象的。
機首下面のオイルクーラーの吸入口が、かなりでかいのも目に付きます。
機首の開口部が小さいのも印象的。
このため、熱対策として雷電はエンジン前に強制冷却ファンを積んでます。
ただ、強制冷却ファン、元祖ともいえるFw190では「ほとんど意味ないよ」
みたいなレポートがあったりするので、この機体でも、あまり有効に働いてない可能性はあります。
あと、雷電にも機首の後ろの部分にゼロ戦とおなじような隙間があるんですね。
これは日本の空冷単発戦闘機にはたいてい付いてる(五式戦はない)特徴の一つなんですが、
なんでわざわざ機体にこんな細長い穴を開けるのか、未だに意味がわからなかったりします(笑)。
よそ様の国ではあまり見ないモノですし。
まあ普通に考えると、ガソリンタンクからもれた燃料が機内にこもらないようにする通気穴、
あるいはエンジン冷却用の空気抜き、というとこですが、
両者とも、この位置では意味がない、と思われる機体が多いんですね。
うーん、宗教的な呪術目的かなあ(笑)。
NEXT