ほぼ真後ろから。ああ、紫電改の主翼が邪魔。贅沢な邪魔ですが(笑)。
全幅がかなり大きいの、なんとなく、わかるでしょうか。



で、夜間戦闘機に生まれ変わった月光さんはどうでしたか?
と聞かれれば、力なく微笑んで、相手から目をそらすことになります(涙)。

まあ、性能的なこと、地上および機上レーダーのお粗末さ、とかを別にしても、
1945年の本土防空に投入される夜間戦闘機として見た場合、
とにかく生産機数が少なすぎますね。

この月光も、日本軍おなじみ
「総生産数500機未満だけど主力機扱いだよんブラザース」の一員です。
雷電、紫電改、五式戦などと同様、戦争においては
「あってもなくても変わらなかったレベル」の機数しか造られていないわけです。

で、B29の夜間都市爆撃は最大550機、少ない時でも200機は飛んで来てました。
500機編隊の時は、月光の総生産機数、ぜんぶかき集めても対抗不可能です(涙)。

ちなみに1945年の3月の段階で、テニアン、サイパン、グアムにはすでに
400機を超えるB29が展開してました。
(この後も増え続け、最終的には常時600機以上のはず)
まあ、雷電も五式戦も紫電改も、どれもこれも皆、
マリアナ諸島に陣取ったB29よりその数は少なかったわけです。
…1945年、昭和20年の日本軍は、いやもう正直どうしようもないのです。



ちょっと低い角度から。
真後ろにいるのが例のアメリカの双発戦闘機、P38です。
重量的には、ラジエター付きとなる液冷エンジンの上、排気タービンまで積んでる
あっちの方が重いのですが、機体サイズでは月光の方が大きいのでした。
そのライトニングの前に人がたくさいんいるのは、ガイドツアーに参加してる人たち。
ついでに、手前の尾翼はジェット双発爆撃機、Ar234です。


ちなみに米軍側の記録を見ると、
(20AFのTactical Mission Report 日本でも国会図書館で閲覧できる)
予想通り、夜間爆撃時のB29の損害が極めて軽微です。
要するに、結果を見てしまえば全く成果はあがってません。

実際の数字を見てみましょう。
テニアンに展開するB29が400機を超えた1945年(昭和20年)3月、
米軍は1週間で、一気に日本の中枢を叩く作戦に出ます。
10日の東京を皮切りに(すなわち東京大空襲)、11日名古屋、13日大阪、16日神戸と、
連続して300機を越えるB29を夜間爆撃に出撃させたのでした。
(損害が不十分と判断されたのか、名古屋は18日に再爆撃。これを入れると10日間)
で、この間、延べ1570機の夜間出撃(18日名古屋を含む)となっているわけですが、
米軍側の記録によれば、作戦期間中の損失機数はわずかに21機。
のべ1570機の出撃に対して21機、です。
この一連の作戦で夜間出撃したB29の損失率は、わずかに1.33%なのです。
しかもこれ、エンジントラブルや航法ミスによる損失を含む数字どすえ。
マリアナ諸島に展開していた約400機に対する比率でも見ても、せいぜい5%台前半で、
日本の中枢を完全に焼け野原にしてしまったことを考えれば、
コスト的には格安、とでもいうべき損失しか受けていません。
(余談ながら、この作戦でマリアナに展開した20AFはストックの焼夷弾を使い切ってしまい、
都市爆撃は以後4月半ばまで一時中断、以後は再度軍事施設への爆撃に切り替えられた)

そもそも1.3%前後という損失は、戦争でない時、例えば平和な時期にB29を300機、
東京からグアムまで単純に5往復させたとしても、自然発生するレベルの損耗率でしょう。
片道2500kmですからね。これ、那覇-札幌よりさらに少し距離があります。
B29、エンジン周辺のトラブルが少なくない機体でしたし。

実際、南方方面に進出しようとした日本の航空部隊がその移動中、
これよりはるかにパーセンテージの高い損耗を発生させた例は、少なくありません。

毎回300機以上(全機の離陸だけで2時間もかかってる)出撃させ、
10日間に5回もそれをやったんだから、米陸軍20AFの連中恐るべし、です。
きちんとした品質管理マネージメントなしで、できる芸当ではないでしょう。
つーか、後にも先にも、人類がこれだけの機数をこれだけの距離、
何度も移動させたこと、ないでしょうね。
500機編隊の時なんて、よく飛ばしたもんです。
2,3機くらい、UFOにさらわれても、気がつかんよなあ。

まあ、要するにこの作戦におけるB29の損耗率は
「大規模部隊の移動に伴う、自然発生的なコスト」
以上のものではない、と見ていいでしょう。
アメリカの敵は、大量輸送時に確率的にどうしても自然発生する「損耗率」のみです。
日本の夜間防衛網は存在していなかった、と言うほかありません。
月光がどこで何をしてたのか、詳しくは知りませんが、
結果を見る限り「何の役にも立ってない」のです。



微妙に違う角度から。
うーむ、なにせ似たような写真しかないので、コメントに困る(涙)。


ちなみに最終的なB29の総損失数は米軍側の記録をカウントすると約400機。
くどいようですが、これはエンジトラブルや、離陸直後に空中爆発(ホントにあったらしい)
といった「自滅含む」の数です。

参考までにイギリスから出撃してドイツに対して昼間爆撃を行っていた米第八空軍の損失は、
ダックスフォード帝国戦争博物館の資料によると7000機を越える、とのこと。
実際、B17が12700機という、下手な戦闘機より大量に生産されたのは、
それだけの損耗があったからで、実に4800機喪失したと言われてます。
これは総生産数の1/3以上が失われた計算になりますから、壮絶というほかありません。
当然、それらの損失は、ほとんどがドイツ軍相手のものですし、
ドイツが連合軍に強いた爆撃コストとしては、
夜間爆撃をやっていたイギリス機の損失が、さらに加わるわけです。

で、B29の総生産巣は3970機前後ですから、その損耗は全生産数の1/10といったところ。
これを多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれでしょう。

とりあえず、ドイツの防空網は恐ろしいなあ、というのは事実でしょうね。


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