■ホーカー ハリケーン MK II C
Hawker Hurricane MK II C
現在まで、史上唯一の実例かもしれない空軍のみによる戦略レベルの戦闘、
ドーバー海峡からロンドン上空において繰り広げられたバトル・オブ・ブリテン。
その時にはなんとか活躍の場があったハリケーンも、基本設計の古さは
いかんともしがたく、徐々に一線級の戦場からは姿を消します。
設計の古さ、といえば、前のページにも書きましたが、この機体、後半は鋼管の骨組みに、
羽布を張っただけ、ということはつまり、ジェラルミン(アルミの合金)すら使ってないんですよ(涙)。
アルミの合金とはいえ、ジェラルミンも錆びるんですが、鋼管にいたっては錆びはあっという間に出るような。
これを艦載機として使ってたイギリス海軍は、真の勇者かもしれない。
しかし、その改良努力は続けられ、エンジンを強化したMkII(マーク ツー)が作られました。
MkIIは大雑把に言ってA,B,C,Dの4タイプがあり、それぞれ搭載武装が異なります。
このC型はヒスパノ20mm機関砲4門搭載という
「お前、戦争でもおっぱじめる気か?」
「すでに始まっております、閣下」
といった感じの武装バカ一代な機体。
基本的には戦闘機としての使用はあきらめ、対地攻撃機として開発された機体でしょう。
実際、4号戦車クラスとか、Uボートあたり相手なら、一撃で沈黙させる火力があったはず。
ちなみにD型は40mm機関砲2門+7.7mm2門搭載という…
■2005年7月 アメリカ スミソニアン航空宇宙博物館 ウドガー・ハジー別館にて撮影

ご覧のように、20mm砲身むき出し。
銃身カバー大好きのイギリス空軍機ですが、さすがにハリケーンにそんな小細工しても
さして最高速があがるじゃなし、とあきらめたのか。

機首周りは本サイトに掲載のスピットのMk.V,VIIとよく似てますが、これがマーリンエンジン搭載機の特徴。
機首上面が水平に近く、機首下面はゆるやかに上にカーブします。
水冷レシプロエンジン機の機首の形状はエンジンの形状に合わせることになりますので、
この形状でだいたい搭載しているエンジンがわかります。
ドイツ、イタリア、日本で使われたDB601系エンジン搭載機の場合も、機首の形でわかりますね。
P51もB型以降もマーリンエンジン搭載ですが、ムスタングの場合、
プロペラスピナーの下に空気取り入れ口を設けて、
少し隙間を作っているため、機首下面のカーブはもう少しゆるやかです。
機体下面。スピットもそうですが、引き込み脚のカバー、内側がありません。
脚を畳んだ後も、タイヤ半分はカバーなしのむき出し状態です。
空力的には不利なはずなんですが、最高速が600kmでない機体ではさして影響ないんでしょうか。
むしろあの程度の速度で完全カバーになってた日本機がやりすぎなんでしょうかね。
また、イギリスの戦闘機として初めての単葉引き込み脚のせいか、
脚回り、妙に複雑な構造になってるのがわかるでしょうか。
スピットのシンプルさに比べると、なんでこんなややこしい…と思ってしまいます。
ハリケーン、設計したのはイギリス航空界を代表すると言われる人物、“サー”シドニー・カムですが、
この人の次の作品は、一酸化炭素がコクピットにもれてくる恐怖の殺人(死ぬのはパイロット…)アゴ戦闘機、
タイフーンで、その後テンペスト、ハンターといったライン。
微妙ですな…。

エンジン周り。主翼からとび出た、むき出しの20mm機関砲銃身が不気味。
排気管が3本しかなく、独特な形状になっているのに注目。
エンジンの排気もこのクラスになるとバカに出来ない勢いで噴出しますから、
こいつを後方に向けて推力としよう!というもので、各国でやってますね。
ハリケーンのものは中でも少し凝っています。
ただし事はそう単純でなくて、こんな機首部、プロペラ後流をモロに受ける位置、
さらには主翼がすぐ後ろにありますから、空力的にマイナスとなる「渦」の発生があったような気もします。
そうするとかえって減速につながる効果しかないことになりますが、
ここらへん、ちょっとまとまった資料が見つからないので、なんとも微妙なところです。
実際、これによって高速化した!というレポートもあるんですが、
ぜんぜん効果なし、という報告も多く、ほんと、微妙です。

真正面から。主翼の分厚さがおわかりいただけるでしょうか。
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