まずは真横から。
20番台スピットは全面的に改修され胴体部も一新された、という話なんですが、
胴体に関しては、Mk.XIV(14)からどこが変わったのかは正直、よくわかりませぬ。

ただし、この角度からでは判りにくいですが、主翼周りは明らかに一新されており、
Mk.21以降では従来の滑らかな楕円翼をやめて、すこし角ばった形状になってます。
(テーパー翼と楕円翼の中間のようなライン)
さらに翼断面型を高速飛行に向いた層流翼型に変更してます。

尾翼も大幅に変わっていて、水平尾翼が横に長く大型化され、
垂直尾翼の舵面は逆に小さくなってます。
尾翼周辺についてはまた後で。



せっかくなので機体のパネルと並行な線を引いて見ると、翼端はその線に沿っており
主翼のねじり下げ、このMk.24では完全に消えてますね。
おそらくMk.21の段階ですでにこうだったと思われます。

新しい翼型だと必要ない、といった実験データでもあったんでしょうか。



やや斜め下から。
翼端部がやや直線的ですが翼端カットの短翼型ではなく、
これが新型主翼の特徴です。
でもって翼面積はむしろ従来より若干増えていたようです。
前縁部のカーブもやや直線的なのが見て取れます。

楕円翼のメリットが主翼内部の空間が大きく取れるだけだ、と判明した以上、
工作が大変な滑らかな曲線にする必要は全く無く、
これは合理的な変更でしょうね。

主翼下面に飛び出てる大きな板は、車輪収納部のカバー。
すなわち20番台の機体以前では、スピットは折り畳み後の車輪の半分は顔を出したままでした。
それで軽く最高時速600km/hを超えて来たんですから、
スピット恐るべし、というところでしょうか。



さらに斜め前から。
片側20mm×2門が標準となって、ドカンと飛び出した
銃身部とそのカバーを見ておいて下さい。

車輪収納カバーの左側にも小さな板が飛び出してますが、この正体は不明。
現役時代の写真を見る限りではこれが付いてるのはMk.24だけなので、
もしかしてこれが新型のロケット架の一部?



反対側から。
ドカンと柱が展示の邪魔になってるあたり、さすがのイギリス人も
この辺りのスピットにはそれほど愛情を感じてないんでしょうかね(笑)。

手前に見えてる主翼下のピトー管の位置が相変わらずなのを見といて下さい。
その左手奥、こちらの主翼下にも、先に書いた謎の板が飛び出してるのが見えてます。

機首下のオイルタンクがエンジン後ろに移動、さらに機首上側も絞り込んだラインになった結果、
クレヨンの先端みたいな形状になった機首部の形も見といて下さい。



後部から。
直線的になってる主翼の後部ライン、
やたらめったら凸部が追加された主翼表面、
そして実は従来と全く別物になってる尾翼部などが
新型グリフォンスピット一族のMk24の特徴でしょうか。

ちなみに後で詳しく見ますが、垂直尾翼の舵面が歴代スピットファイアで唯一、
一番下まで伸びておらず、途中で終わってしまってる、という妙な形状なのに注目。
これはMk.24だけの特徴です。
(舵面を固定するための赤い部品の位置に注目)
何でこんな改修をしたのか全くわかりませぬ。


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