■メッサーシュミット Me-109G-10
MESSERSCHMITT  Me-109G-10

日本やアメリカに比べ2年近く長く全面戦争をしていた結果、
ドイツとイギリスの戦闘機は、同じ種類の中でも数々のサブタイプが誕生し、
しかも同じ機種なのに初期型と最終生産型では、
近所のトカゲとアマゾンの毒ワニぐらい違うシロモノになっていたりします。

そんなわけのわからん機種の代表ともいえるのが、
イギリスのスピットファイア、そしてドイツのこのメッサーシュミットMe-109シリーズでしょう。
サブタイプ(形式)多すぎで、両者の全タイプを完全に見分けられる人は、
大げさでなく世界中に何人いるやら、という世界です。
(いない、と断言してもいいが、万が一ということがあるので(笑))

で、Me-109は1935年初飛行ですから、あの恐るべき航空機進化の時代にありながら、
10年も第一線に居座り続けていました。不本意ながら(涙)。

不本意だったんですよ。本来はそんなに使うつもりで造っていません。
まあ、初飛行後、これでドイツ空軍もあと3年くらいは安泰ですな、ウハハハハ、
とか言ってたような機体だったんじゃないかなあ、と思います。

実際、この機体の後継機をメッサーシュミット社で開発してたのですが、
Me-309、Me-209(速度記録用ではなく戦闘機型の方)と次々と失敗。
それらの機体による性能向上を期待していたドイツ空軍を地獄のどん底に突き落とします。
いやもうホントに(涙)。
後継機開発の失敗を既存機の改良で乗りきろうとしたのが、
このMe-109、特にG型以降の迷走につながってゆくわけです。

が、元々、非力なエンジンを使いながらハイスピード希望な設計となっており、
贅肉そぎ落としまくって「あまり余裕の無い」構造なのがこの機体。
しかも、ドイツでは高オクタンガソリンが手に入らない以上(一時確保したがすぐ無くなった…)、
ブースト圧も圧縮比もあげられず、その結果、まともにエンジンのパワーアップを図ることすら不可能。
そんな中での性能向上をして行ったわけですから、まあ、気の毒な機体ではありました。

2008年 オハイオ州 アメリカ空軍博物館にて撮影



ちなみに第二次大戦勃発後の主なMe-109のタイプは、
E、F、Gの3つだけなんですが、その中でさらに細かく分かれるのでかなりの数となります。
特にドイツの空飛ぶ迷走ことG型は、主なモノだけでG-1,G-2,G-10,G-14、
これらのほかに高高度型、偵察型、さらには計画だけの機体などが存在しており悪夢のようです(笑)。
その上、イギリス機のごとく機体番号とデビュー順の逆転までやってるので、
ややこしいこと、この上なし。
よって、本記事ではあくまで今回の機体の写真解説のみに徹します。
でなきゃ、また終らなくなる(涙)。

で、このアメリカ空軍博物館の機体はG-10。
終戦直前にようやく登場した、Me-109最終進化形な機体ですね。
実戦に参加したGシリーズの中ではかなり生産数の少ないタイプで、
かなり貴重な機体なんですが、この展示機の来歴はイマイチ不明。
G-10、戦後テスト用に持ち帰った機体が1機あったはずなので、それじゃないかなあ、と思いますが。

エンジンカバーが開いてますが、G-10シリーズは
従来のG型につまれていたDB-605Aシリーズからパワーアップされた
DB-605Dを搭載、大型化されたエンジンを搭載するため、
機首部が太くなったほか、プロペラの直後、機首下部に小さいコブが二つできました。
その代わり、機銃を収めるためにG-6以降、機首上部に二つあったコブ(ボイレ)が
機首そのものが太くなったため、飲み込まれてしまい、消えてしまってます。

コクピットのキャノピーが窓枠が少なく、視界のよいエルラ社製の
エルラ ハウベと呼ばれるタイプになっているのも特徴。
最も、エルラ ハウベは、終戦直前のMe-109の各タイプで採用してた、
という話もあるので、機種判別のポイントにはならないかも。
あと、主脚の車輪も従来のものより大きいらしいです。



ちょっと角度を変えて。
G-10の識別ポイント、プロペラ直後、機首下面左右に小さなコブが出来てるの、わかりますでしょうか。




真正面。プロペラブレード、太い、太い(笑)。
四枚ペラにした方が効率いいような気がするんですが、
あのドイツ空軍があれだけ3枚ペラにこだわったんだから、
何か理論的な裏づけ、あったんでしょうかね。

機首下面が黄色いのは味方から誤って対空砲火を食らわないように、
という識別用塗装を再現したものらしいです。

ついでに主翼下のラジエターの空気取り入れ口の小ささ(薄さ)にも注目。
車輪の入る穴の直後にあるんですが、薄すぎてよく見えないほどです。



参考までに、ほぼ同世代機、グリフォン スピットファイアの(F)Mk.XIV(14)。
このドンガバチョと開いたラジエータを見るがいい!(笑)。

まあMe-109のラジエター空気取り入れ口は可動式で、
必用ならもう少し大きく開くんですが、それにしても小さい。
あれでなんとかなったのは、ドイツの冷却力は世界一、だからではなく、
DB605D、あまりパワフルなエンジンではなかった、という遠まわしな証明でしょうね。
パワーが出なけりゃ熱もでない。よって冷却にはそれほど悩まされないんだろな、と。

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