■ウルフは意外にショボかった

というわけで、今回も、最も重要な要素である速度と高度から見て行きましょう。
以前の日米戦闘機比較のグラフに、Fw190A-3、Me109 G-1、さらにイギリスの
高高度向けスピットことHF スピットファイアMk.IX(9)、計3機種を加えたのが下のグラフ。
タテ軸が、その機体が最高速度を出せる高度で、ヨコ軸がその速度。
ですから、上の方にある機体ほど高高度性能が高いことになります。

ちなみに、個人的にこれ、
「なんで連合軍の皆さんが圧勝しちゃったのか一目でわかるグラフ」と命名しております。
今回も、まさにそんな内容です(涙)。



はい。
上の方を見ると、スピットがこんなとこに追加されてる、というのがまず目につきます。
では、今回の主人公、Fw190を探してみましょう。
上から下へ視線を、下へ…下へ…アレ?どこだ。
あ、いました!屠龍の下に!(涙)。屠龍の!下!マジですか!

いや、上の方を見れば米軍機ばかり、という状況に、さらにスピットが加わって、
枢軸国側にとっては悪夢としか言いようのないグラフになってしまいましたね。
こら、米英相手に制空権取るの、無理ですわ…。

最初にも書きましたが(まあ、忘れてると思いますが)Fw190の最大の欠点が、
この高度性能なのです。致命的に貧弱、と言っていいでしょう。
速度こそ上回るものの、その高度性能は、なんとゼロ戦以下という悲惨な状態になってます。

つーか、この場合、スピットIX(9)の尋常でない性能に素直に驚きましょう(笑)。
1942年後半以降、ふっとっちょゲーリング&いろんな意味で愉快な仲間たち、ことドイツ空軍の
相手となってドーバーの向こう、白い崖の上に立ちはだかったのがこのMk.IX(9)でした。
で、その当時のドイツ側の主力、Fw190AもMe109Gも完全に性能的に劣ってます。
このあとで加速と上昇力も見ますが、この点でも完敗なのです。旋回性能は言うまでもなし。
さらにその後から出てくるアメリカ軍は空飛ぶ腕力馬鹿一代P47と、
存在そのものが反則であろう、というP51を持ち込むわけですから、
そらドイツ空軍、ケチョンケチョンにされますわな。

よって、Fw190は、低空高速性能を活かし、低高度で進入して爆弾落として帰ってくる、
戦闘爆撃機でやっていく、ということになって行くのです。
いや、ある程度は予想してましたが、グラフにして見て、何より私が驚きました(笑)。
こりゃ、とても制空戦闘には使えませんよ。

ただし、Mk.IX(9)登場後も、一度だけ、Fw190は戦闘機としての活躍の場がありました。
昼間爆撃にやって来る、アメリカ第八空軍の爆撃機相手の戦闘です。
当初は護衛戦闘機なし、という無謀に近い編隊で飛んで来たため、Fw190はかなりの戦果を挙げています。
爆撃機相手なら、多少遅くても、20mm機関砲4門という強力な武装、というメリットの方が活かせました。
が、米軍もあまり頭の悪い方ではないので、すぐに戦闘機による護衛を付けるようになります。
最初に来たのは、双発のP38でした。
なんだ、双発機相手ならFw190圧勝ジャン、と思うなかれ、日米戦闘機比較でも書きましたが、
P38、その性能は、下手な単発機を凌駕します。
でもって、Fw190は「下手な単発機」の部類に入るのです(涙)。
きちんと資料に当たってないのですが、Fw190が米軍戦闘機相手に苦戦するのは、
P51が飛来する前、P38の段階から始まっていたはずです。



米陸軍の爆撃機は、B24もB17も、なんでまたそんなに、というぐらいの数が造られてるが、
答えは簡単で、それだけの数が撃墜されているからだ。
特に、護衛戦闘機がつくようになる前のドイツ本土爆撃では、一方的に近い被害を出している。



最後に、ちょっと意外だったのがMe109Gの最高速の定格高度が7000mと結構高いこと。
どう考えても、DB605Aにそんな高高度性能があるとは信じられん上、
ドイツ空軍データによれば高度8000m近くまで時速600km/hを維持してます。
嘘じゃないかなあ(笑)。
できれば、米英の試験データをなんとか手に入れて、確認したいポイントではあります。

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