斜め下から。
うーん、やはり逆光になってしまいますね。

この位置からコクピットが見える、ということはコクピットからも下が見えてるわけで、
高い位置からの下方視界はいいようです。



先端部アップ。
エンジン開口部の内側下、左右に見えてるのは
2段式過給器、すなわち機械式過給器のスーパーチャージャーで
使うインタークーラー(圧縮空気の冷却装置)の空気取り入れ口。
一番上、カウルの中に埋め込まれてるのはエンジン(過給器)の空気取り入れ口。
これがある機体は2段過給器搭載型と見ていいようですが、
どうもこのあたり資料が少なく、断言はできませぬ。

先にも書きましたが、F4F-3型の生産途中から
既に2段2速過給器が搭載されており、恐らく実用戦闘機としては世界初ではないでしょうか。
少なくとも、その高高度性能においてはゼロ戦なんざ敵ではなかったと言えます。

プロペラの根元にある銀色の部品はカフ(Cuff (s) 通常は複数形で使う)で、
これをプロペラの根元に付けることで、後部に送り出される空気の流量を増やしてます。
それによって先に見た各種空気取り入れ口に効率よく空気を送り込み、
かつ空冷エンジンの場合はエンジンの冷却効果を高めるわけです。
アメリカ軍機にはよく見られる部品です。

こうして見ると、とにかく無骨な印象があるグラマンの機体ですが、
主翼周りはとてもキレイに仕上げられてますね。



機首周り。
このあたりもキレイに仕上げられてますが、
よく見ると枕頭鋲ではなく、全部皿子ネジで留めてるような…。
主翼の方はさすがに枕頭鋲を使ってますが、
機首周辺はどうもネジで留めてる感じですね。

開いてるのはエンジンカウル内の空気を逃して温度を調整するカウルフラップ。
空冷エンジン機では必須の装置です(一部液冷エンジン機にもある)。

ついでにF4Fの主脚の収納が人力(笑)なのはよく知られてますが、
実はこのカウルフラップも人力で、コクピットにあるハンドルをグルグル回して開閉します。
このため、地上でのエンジン始動時や着艦前後に、
ハンドル回してこれを開けるのを忘れると、あっという間にエンジンがオーバーヒートする、
という恐ろしい機体でもありました(笑)。

ちなみにF4Fは油圧機構も電気モーターも全くない、という男らしい生き様の機体で、
これだけ体力勝負な戦闘機も珍しいかもしれません(笑)。
ちなみにこの手のハンドル系は全て右側にあったので、
F4Fのパイロットは右腕ばかり筋肉が付いてたんじゃないかと個人的には想像してます…
ちなみにフラップの上げ下げはさすがに人力ではないのですが、
真空機構という聞いたことも無いような装置になっておりましてよ。



機首下面。
良く見ると主翼下のオイルクーラーの中が見てます。

これだけ複雑な形状の脚、これが衝撃吸収のためなのか、
胴体への収容機構のためなのかよく判らず。
重量的には結構不利だと思うんですよね、これ。

ちなみに衝撃吸収の緩衝部は
一番上の左右で上方向に伸びてる支柱の上に付いてますが、
なぜかこの機体、緩衝部にカバーが付いていて固定されてしまってます。
オリジナルのパーツが失われていて手に入らなかった?
ここら辺りはFM-1の方の記事でちゃんとしたものを載せときます。

ついでにちょっと見づらいですが、プロペラの黄色い先端部の右横、
機体下面中心部に小さな突起があります。
これは空母からカタパルト発進する時にロープを引っ掛けるフックで、
アメリカ海軍では、この世代の機体からすでにカタパルト発進に対応してました。

日本の場合、終戦に至るまでそんなもの存在しなかったんですけどね…。


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