■今日、音を越えてきたぜ、グレニス
さて、前回でエリアルール1号(仮称)の説明までが終了、
いよいよ音速突破の準備は完了しました。
…したんですよ。
よって、この記事もようやく音の向こうの世界に入ってゆきます。
そこはこれまでの常識が全て吹き飛ばされる世界であり、
1904年にライト兄弟が生み出した技術のほとんどが通用しない世界でした。
航空機が音速を超えると、すなわち周囲の気流が音速をこえるとどうなるか。
最大の問題は、超音速流の中だと、従来の翼断面の主翼では
もはやまともな揚力を生むことができなくなる事でしょう。
注意して欲しいのは、これは先に見た衝撃波失速とは全く次元が異なる話で、
超音速気流の中では、そもそも揚力の発生原理が変わってしまうのです。
同時に常に衝撃波(&膨張波)が発生してベラボーな造波抵抗が起き、
超音速気流が空気取入口から侵入してエンジンのタービンブレードにぶつかったら、
ブレードの破損が起き、その破片がエンジンに吸い込まれたら、
速攻でエンジンが壊れて止まります。
つまり超音速流の中では、普通の飛行機では、まともに飛ぶことすらできない。
でも、現実には、世界中の空で軍用機が音速を超えて元気に飛んでます。
なんで?
それを知ることが、この長い大脱線の終着点となます。
さて、そろそろ決着をつけに行きましょうか。
1947年10月、人が乗って最初に水平飛行で音速を超えたベルX-1。
この機体は二つの点で冒険をしています。
一つ目の冒険は、当時まだ全く未知の世界だった音速の向こうに、
いきなり人間を乗せて突入させてしまったこと。
この結果、パイロットの“チャック”イェガーは、飛びながら対策を探す、
というとんでもない飛行をやってのける事になります。
二つ目の冒険は、メーカーがベル社だって事(笑)。
ロッキードと並んで、ここは政治力でメシを食ってた会社であり、
技術力で勝負の実験機を造らせるのは無理があるでしょう…。
個人的には好きなメーカーですけどね(笑)。
実際、この機体は超音速の先で何が起こるかはほとんど理解してなかったんだろうなあ、
という設計になっており、無事に済んだのは多分に運もありました。
例えば、ロケット動力にしたのは、主に当時のジェットエンジンの出力不足が原因なのですが、
その結果、エンジンの空気取入れ部という、超音速機の最難関の問題を自動的に回避してします。
NEXT