■フィアット C.R.42 ファルコ
Fiat C.R.42 Falco



RAF 博物館 ロンドンにて撮影

第二次大戦期におけるイタリア空軍の戦闘機。
ファルコは鷹の意味らしいです。

ご覧のような複葉機ですが、これが第二次大戦初期の戦闘機ではなく、
大戦全期を通じて現役、それどころか終戦後は練習機として使われ、
1950年、世界中がジェット機で溢れつつあった時期にまで現役だったと言う、恐るべき機体。
イタリア、ブラヴォー。

1934年から配備の進んでいた複葉戦闘機、フィアットCR.32の発展型として造られたものなんですが、
設計開始は1937年辺りで、すでにMe109もスピットファイアも登場済みの時期。
そんな段階で、なんでまた複葉機の開発を始めてしまったのかは、よくわかりませぬ…。
どうもスペイン内戦にCR.32を持ち込んで見たら、予想以上に活躍してしまい、
その影響で決定されたもののようですけども。
ちなみに初飛行は1938年5月。第二次世界大戦まであと1年ちょっと、という段階でした。

が、さらに驚くのは、この時期に、このCR.42を輸入した国があった事(笑)。
スウェーデン、ベルギー、ハンガリーが、大戦中に運用しているのです。
(スペインでも使われたらしいが、詳細不明)
結局、1940年になって本格的な戦闘が始まるまで、最新の航空戦というのが
どういうものになるか、キチンと理解してた国はほとんど無かったんでしょうね…。

もっとも、この展示機をテストしたイギリス空軍によれば、
複葉機らしくその運動性能は極めて優れており、その点にかなり驚いたようです。
さらにハンガリーの機体はソ連機相手に、かなりの活躍を見せたとされるのですが、
ここら辺はどこまで数字を信用していいのか、微妙な気も…。

ついでに、ベルギーのCR.42は1940年5月のドイツ侵攻時に実戦投入されており、
これは恐らくイタリア本国がフランス相手に実戦投入したのより先だと思われます。
ちなみに、この時期のベルギー空軍の戦闘機は、このCR.42、グロスター グラディエーター、
フェアリーのフォックス Mk.VIIIという、1940年代最強の複葉機軍団でした(笑)。
一応、ハリケーンも10機前後は持ってたようですが、
あまり効果的な反撃は出来ないまま、ドイツ空軍に蹂躙されてしまいます。

で、こんな機体ではありますが、実は第二次大戦中にイタリアが量産した戦闘機中、
最大の生産数を誇っております。
ただし、全部で1800機前後です(笑)。
他の国の主力戦闘機の半分以下どころか、1/10という世界です。
どうもイタリア人の皆さんは、戦争に向いてない気がしますねえ…。

NEXT