■煩悩の一つ上で我は待つ
メッサーシュミット Me109-G6

第二次大戦時の、ドイツ空軍主力戦闘機、Me109。
当時の数ある戦闘機の中では、もっとも早く産まれたものの一つであり
大戦全期間を最初から最後まで主力として戦い抜いた、唯一の戦闘機でもある。
もっとも、元祖といえるBf109Bあたりと、写真のMe109G6以降ではジャイアントロボとガンダム、
パラダイスとパラノイア、トラフォームとトランスフォーム、ニューヨークと新板橋くらいの違いがあるのだが。



■メッサーシュミットMe109G-6、ワシントン スミソニアン航空宇宙博物館にて撮影

Bf109の原型機は例のRLMの要請に従い、1933年後半から設計に入って、35年の5月に初飛行してるから、
これは日本で言えばホリコシ閣下の96式艦戦とほぼ同世代機だ。
世界的に見ても、同時期の機体としてはホーカーのハリケーン(わずかにこっちの方が新しい…)、
そしてまったく同時開発といっていいカーチスのP36(P40の前身)ぐらいが同世代機だから、
完成度としては、完全にアタマ二つ抜け出していた機体だった。
もっとも、優秀だったから最後まで現役だったのではなく、ローベルト・ルッサーが抜けた後の
メッサーシュミット社は世界のホリコシも顔負けのステキ戦闘機を連発、
色白の美男子が多いドイツ空軍上層部を、いっそう顔面蒼白にさせてしまった結果、
いつまでもこの機体が主力戦闘機としてひっぱられるハメになったのだ。
Fw190も、悪い戦闘機ではないが、Me109を圧倒するほどの存在でもない。
よって、ダラダラと最後まで戦い続けるハメになったのでした。
かなり無理をしているわけで、実際、大戦末期にはかなり悲惨な状況となる。

もっとも、それはドイツに限った話ではなく、自国が参戦した後に初飛行した機体で、
「ちゃんと」主力戦闘機となったのはアメリカ海軍のF6Fぐらいで、
それ以外は全部失敗か、戦争には間に合わなかったかのどちらかになりました。
まあ、メッサーシュミットのダンナが悪いのは間違いないんですけどね(笑)。



Me109の同世代機その1、カーチスP36。これを水冷エンジンにすればP40となります。
写真はその輸出版のH75-C1でフランス向けの機体。
H(Hawk)75は、輸出相手国ごとに名前も仕様も変わる、という妙な機体で、
貧乏なタイあたりには固定脚の廉価版を、カーチス社は売りつけてます。

フランスのH75は、後に開戦後、同期のMe109相手に活躍することになりますが、
敗北後はドイツに没収され、フィンランドに売り飛ばされてしまい、ソ連機と戦うハメに。
波乱万丈ですな。
一説には、この機体、当時のフランス機の2倍の値段だったとか。
しかも注文してから到着までのスケジュール遅れまくり、
そのうちドイツが攻めてきて、結局かなりの機体が間に合わなかったんだから、
フランス、ハラワタ煮えくりかえりでしょうな(笑)。



オマケ。タイに売られた固定脚のホーク75N。
廉価版、というのと同時に、整備が簡単で、荒地でもオッケーという面があったらしい。
同じような機体が中国にも売られて、日本機と戦ってますね。

 

もう一人のほぼ同期生、34年アタマに設計開始、35年11月初飛行のイギリス機、ホーカー ハリケーン。
この機体にいたっては、胴体後部は布貼りです(涙)。やる気あるのか、シドニー・カム。
Me109がすげえ、というより、ハリケーンがヒドイ、ってのが正しい気が。
設計者のシドニー・カムはこの次にはタイフーンという恐怖の殺人戦闘機(イギリス人パイロットにとって…)
を造ってますんで、イギリスはほんとにスピットファイアの設計者である
ミッチェルただ一人に救われたんですよ、ホンマに。

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