■またもタイトルネタが尽きた

「速度は揚力を稼ぐ、という面を別にしても、軍用機にしろ民間機にしろ、数字を下げたくない要素だから、
高揚力装置、小さくて薄い主翼にさまざまなギミックを付けて、
小細工で低速時、つまり離着陸時の揚力を増やそう、という話になってきたわけさ」

はあ。で?

「先に述べたエルロンから発展した単純なフラップは(プレーンフラップ)はすでに1914年、第一次世界大戦の段階で、
イギリスが実用化してたんだが、速度は遅いし、既に揚力十分な複葉機では、あまり評価されなかった」



第一次大戦期のイギリスの戦闘機。
ご覧のように、主翼の隅っこのエルロン、補助翼しかついてない。



「が、結局は機体の高速化にともなって、その開発は急激に進むわけだ。
で、フラップの原理は先に説明したが、その過程で、別の理論的裏付けも考えられた」

なんでまたそんな面倒な?

「フラップを付ければ揚力が上がるのは実際に飛行して確かめられてるのだから、間違いはないんだけどね」

じゃあ、いいじゃん。

「ところが、先に書いた作用、反作用的な説明だと、例の揚力計算式に当てはめることができないんだ。
これでは機体の設計時に必要な揚力が計算できず、困ったことになる」

できないの?

「速度、揚力係数、翼面積、飛行高度の大気密度、どれもフラップにぶつかる空気の流れは数値に反映しないだろ」

なるほど、計算で求められる数字と、実際の揚力が異なってくるわけか。
…あれ、じゃあ、揚力計算の式は間違ってるってこと?

「…とは、ならない。いや、なるような気もするが(笑)、一応、理論的な説明はつくんだ」

面倒な話?

「ちょっとね。大丈夫、痛くないから。さて、下の図を見て欲しい」




見たよ。帰っていい?

「もうちょっとだけ、待て、ペロ君。
これは適当な主翼の断面図だと思って欲しいのだが、赤い部分がプレーンフラップだ」

線が引いてあるけど?

「黒い線は主翼の前縁部と後端部を結んだ直線で、正式には翼弦線と言うモノ。
青い線は主翼の中心部、上面と下面の中間を貫く線で、翼型中心線。
この青い線は、主翼の湾曲、曲がりを示すことになるので、キャンバー(曲がり)ラインとも言う」

うーん、…あれ?もうごはん?

「…人の話の途中で、寝るの速くなったな、ペロ君。まあ、いい。
さて、この主翼の中を直線で分断した黒い線と、ゆがみにそって丸く描いた青い線、この差の部分、矢印で示した部分が、
キャンバー、すなわち主翼の湾曲を示し、実はこの面積が大きいほど、揚力と揚力係数は大きくなる」

いいことづくめじゃん。大きく曲げようぜ。

「私もそう思うんだが、大きく出っ張るほど、空気抵抗は大きくなるんだ。だから高速機などでは、薄い翼となる」

なるほど。で?

「先にも書いたように、このキャンバーをいじれば、揚力係数は上げられるから、先の計算式に組み込むことができる。
さて、では下のフラップを下げた状態での翼弦線とキャンバーラインを見てみよう」





「はい、キャンバーが増大してます(笑)」

ちょっと待てえエエ!
なんだか、すんごいウサンクサイぞ、これ。トリックだろ。詐欺だろ。

「だよねえ(笑)。この場合、青線のキャンバーラインの取り方が問題になるんだが、
ここでは物理的な主翼下面からではなく、翼弦線から翼上面までの中心線とした」

変じゃない、それ?

「うーん、悩んだんだけどね。実際、ライト兄弟時代の飛行機なんかは主翼下面はない状態なので、この考え方も可能なんだ。
それに、元々の主翼上面、下面の中間を通すと、すさまじく巨大なキャンバー面積となってしまい、
さすがにこれでは空気抵抗で飛べないはず、という数字になりそうなんだよ。
まあ、そっちが正しい、と言う場合、指摘をいただければ、すぐに直しますが…」

そうなの?それにしてもなあ…

「うーん、計算式を成立させるための強引さ、みたいのを感じるが、
一般的にフラップの説明で出てくるのは、むしろこっちの説明なんだ」

うーん、なんだかなあ。

「まあ、実際、この考え方で計算を行うと、実際の数値とほぼ一致するらしいので、いいんじゃないかなあ」

うーん、なんだかなあ。

「はい、とりえず今回は完全な番外編となりましたが、ここまで。
次回は再びMe109に戻り、F型以降のフラップの話からしてゆきます。
でわでわ」

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