■あらメッササー

さて。
本題に入る前にもう少しだけ、前フリを。
液冷式戦闘機にはラジエターが付き物なわけですが、
ここでは、ラジエターの構造をちょっとだけ。



通常、これは機体下か主翼の下に付けられます。
Me109の場合、E型以降、それまでの機首下面から両主翼下面に移されてます。

ラジエターは大体上のような箱状のカバーに収められてます。
この上には主翼か胴体があると思ってください。
左側が進行方向で、飛行中はこの方向から空気が入ってきます。

でもって、注目なのが、この手の「ラジエター箱」に大抵付いてる後部のチリ取りみたいなパーツ。
ラジエターフラップというパーツで、これを開け閉めして、ラジエターの温度調整を行います。



スピットファイアのラジエターフラップ。
主翼下についた箱状のラジエター後部で、パカっと開いてるのがそれ


ラジエターの役割は、エンジンから熱を奪って熱くなった冷却液をここで冷し、
再度エンジン冷却用に送り込めるようにすることです。
が、航空機エンジンの場合、地上が30度近くて、いや、暑いね、とか言っても、
高度8000m位まであがってしまうと氷点下の世界ですから、その外部温度が劇的に変わるのです。

なので、地上付近ではガンガンに冷やせばいいのですが、高度8000mあたりでは、
冷やしすぎると、今度はラジエター液の凍結の恐れが出てくるほか、
エンジンをあまり冷やしすぎてもパワーダウンにつながります。
そこで、この空気の抜け口にあたる部分を閉じたり空けたりして空気の流量を変え、温度調整をするわけです。
通常、戦闘機が飛ぶような高度に上がってしまうと、ほぼ閉じたままになります。

でもって、Me109では、主翼そのものが小さかったので、これを主翼下に積んだ結果、
ラジエターフラップが主翼後部のフラップの移動範囲と干渉してまう、という珍現象が発生します。
つーか、E型の場合、フラップを一番下まで下げると、ラジエター本体にぶつかります。
当然、ラジエターフラップは全開状態でないとならず、
まあ地上では通常、全開でかまわないんですが、厳冬期とかは冷えすぎてちょっとキツかった気がします。

そこで、メッサーシュミット社の技術者は悩んだ、考えた。
その結論が、以下なのです。



「見たまえ、ペロ君、人類の新しい夜明けの到来を告げる写真だよ」
は?飛行機の写真だろ、単なる。
「翼見たまえ、否、よく見たまえ。この機体のフラップを!なんと上下に2枚、フラップが見えるのだ!」
あ、そうね。
「これは!下側のフラップは!間違えなく、この地で不幸な最後を遂げたフラップ霊だ!
人類史上初、ついに登場、航空機の心霊写真なんだよ、ペロ君!イヤッハー!」
落ち着けや。で、ホントのとこは?
「…ノリが悪いなあ。まあ、それが今回の本題なんだけどね。では行ってみましょうか」

というわけで、ドイツのステキなメッサーシュミット社の皆さんがたどり着いた結論がこれ。
ダブルフラップ、すなわちラジエターフラップと、主翼のフラップを2枚で一つとしてしまうこと。
これはどんなに文章で説明してもわからん、と思うから、図で見ていきましょう。

図は、あくまで「イメージ」ですので、細部の参考にはなりません。
詳しく知るには、ハセガワとかの1/48以上のキットを買ってくるのが早道でしょう(笑)。


左上が機体進行方向。灰色の板状のものがラジエターで、
ラジエター本体は主翼内まで入ってますか、この箱部分より、少し大きいんですね。

でもって、そのラジエターの排気口の部分が、上下2枚の板に覆われていて、
これがMe109F以降で採用された、ダブルフラップ(仮称)となります。
ちなみに上下別々に動かせるんですが、操作方法とかはよくわからず。




地上でエンジン始動しての待機時などは、ガンガンに冷やす必要がありますから、
下を全開にしてるようです。





飛行中とかはこんな感じで、先っぽがホンの少しだけ開いた状態。
多分、写真とかで見ても2枚に分かれてる、とは気がつかないでしょう。


問題は、離着陸時。
両者が下を向きます。わからんのは、なんで2枚で動くのか、ということ。
上のパーツを固定にしたところで、普通にスプリットフラップ として働くはず。
つーか、、単純に下に曲がるだけ(主翼下面から気流を導くとかしない)なら、
上側フラップの動きは、全く意味がないのです。固定しといた方がマシ。
それでも、あえてこんな凝った構造にしたならば、考えられる可能性としては

●上のフラップはラジエターからの排気が表面を流れるようになっていた。
でもそれって、下面の速度と同速になるだけですから、意味ないよなあ。
ついでに、写真等ではスリットの類は一切見えないし。

●拡散型配置のラジエターなので、多少は推力を発生していると考えられ、
そのラジエター排気を下に曲げることで、地面付近での推力(揚力)として利用しようとした(笑)

●スプリット式フラップを知らなかった(涙)

●アンドロメダ星人のチョー秘密技術がいい感じで使われていた。

といったところでして、まあ、実際問題、アンドロメダ星人を除けば、考えにくい理由ばかり。
しかし、なんの理由もなく、こんな凝った構造にするわけもなく…。
ドイツですからねえ…。
うーん、何か私の知らない空力的な神秘、でもあるんですかねえ…。

まあ、とりあえず、Me109F型以降のフラップはよくわからんが、凝った造りだよってことで、ひとつ(笑)。

はい、今回はここまで。
次回、ようやくロンドン109編でフィナーレです。 

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