■G線上のアーリア人

スミソニアンのこの機体はMe109G-6で、44年7月、イタリア戦線で戦ってたアルザス地方出身のパイロットが、
連合国に降伏して来た時に乗って来た機体らしいです。
ドイツ系の住民とは言っても、占領下のフランスですからね、アルザス地方。
そのパイロット、やる気、なかったんでしょうな(笑)。

後にすべての塗装を剥がし、シリアルナンバーの入ったプレートまで取ってしまったようで、
それ以上の情報はなし。
アメリカ本国にに送られて後、1948年にはスミソニアンに寄贈されてたらしいので、
これまたそのコンディションは世界最高レベルの機体ですね。

これ、たまにキャノピー開けて、上からコクピットが見れるらしいんですが、
私らが行った時は、ご覧のように閉じられてしまっていました。ちぇっ。

下の写真、最初に載せた写真と同じように見えますが、微妙に角度が違います(笑)。
このG型あたりからすでに「ホントは造る予定ではなかったんだけど…」という機体になりつつあり、
G6あたりでは、後継機のMe309の失敗がほぼ確定していて「え?まだ造り続けるんですか?」状態になってます。

ちなみにMe209ナンバーは速度記録用の実験機に使われていたため、いきなり309に番号が跳ぶんですが、
Me309の失敗のあと今度はMe209IIというネーミングで再度、量産型戦闘機のナンバーとして使われます。
でもって、当然のごとくルッサーなき後のメッサーシュミット社はこの開発にも失敗します(涙)。

この実験機Me209と量産試作のMe209IIは全く別の機体なので、結構話がややこしくなることが。
普通にMe409にしとけばよかったじゃん、と思うんですがねえ…。



Gシリーズは1942年後半にデビュー、既にスピットファイアMk.IX(9)はデビュー済み、米軍も本格的に参戦してくる、
という状況下ですから、ここら辺までが、なんとか主力戦闘機として使えた最後の世代でしょう。
Me109シリーズ中では最も多く生産された型で、G5とG6はほぼ同じ機体らしいです。

機首上面に飛び出してるのが13mm機関銃の銃身。
なんだか少し上向きのように見えますが、これはDB60X系エンジンを積んだ機体は機首がクレヨンの先のように
中心部に向けて絞りこまれるためで、あの方向がコクピットから見れば真正面です。
その後ろに饅頭のような出っ張りが左右に二つありますが、
これはその13mm機銃の給弾部が機体に収まりきらなかったので造られたカバー。
この「コブ付き」である、というのがG5以降の特徴ですね(G10で一回消える)。

プロペラスピナーの先端に穴が開いてますが、これは20mm機関砲の発射口。
Me109の特徴であるモーターカノン、エンジンの後ろ部分に機関砲を乗っけて、
プロペラ軸中心から弾を撃ちだす、というタイプの武装です。

横に出っぱってる配水管状のものは気化器吸入口。
DB60X系エンジンはエンジン後部、左側に過給器があるので、あの位置になったのでしょう。
あそこまで出っぱっているのは機体表面にある乱れた気流、
境界層から少し離れた位置に吸気口を設けるためで、
スピットのMk.IX(9)の機首下吸入口、ムスタングの機体下面ラジエター吸入口
なども同じ理由で機体表面から少し離れるように設計されてるんですが、
Me109のこれは、さすがにもうちょっとなんとかならなかったのか、という気も…。
創意工夫という発想なんて、微塵も感じられませんな(涙)。

たった1枚の写真から、すでに大分苦労してるなあ、というのがよく読み取れますね(笑)。



ちょっと横から。上の人などと比べると、非常に小型、コンパクトな機体であることがわかりますかね。
主翼の上にも出っ張りがあります。こういうのは大抵、翼内機銃を大型化してしまった結果起きるものですが、
このMe109G型は翼内武装はなし。多分、主脚のタイヤか何かが大型化されたんじゃないかと思いますが、仔細不明。
これもG5以降の特徴の一つですね。



そこから少し後部を。胴体後部はきれいに絞りこまれて行きます。
主翼のフラップが少し下がってますが、変な位置にありますね。
これはMe109はF型以降では、フラップが内側と外側の2枚に分割されており、
この機体では外側のみが下がっている状態だから。
F4Uのような逆ガル翼 では、主翼が湾曲してますんで、分割しないと曲がらなくなってしまうんですが、
通常の直線翼で、なぜわざわざ2枚に分けたのか、というとなんと
内側のフラップは、ラジエターフラップを兼ねてるからです(笑)。
文章での説明が難しいのですが、ラジエターフラップを付けようと思ったら、
主翼後部に干渉してしまうため、主翼のフラップを兼ねる構造にしてしまった、ということらしいですね。

写真では下がってない内側フラップは2枚構造で上下分割になっており、
下側だけを下げる、ということができるようになっていました。写真で見えてるのは上側のフラップです。
これはラジエターの後部がそのまま直結さてれていて、
この下側のフラップの開き具合によってラジエターからの排気量を変え、温度を調整していたからです。
つまり2枚のフラップの間からラジエターの熱気は排出されます。
Me109の内側フラップは2枚刃状態なのです。
無茶苦茶な設計ですな(笑)。



反対側から。
こちらには例の配水管のようなインテイクはありません。

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