■なぜって、未来はひとつじゃないからさ



では、次のステップ。
毎日の株価の値上がり、値下がりの結果を乱数と見なせるなら、
コイントスなどと同様に、二択のランダム試行となり、これはベルヌーイ試行です。
よって、大数の法則が適用できる程度、十分に長期的な視点に立った場合、
株価の上がり下がりは、完全にランダム、すなわち運となります(笑)。
乱数である以上、時間的な連続性も意味を持ちません。ホントに運だけになるんですよ。

これは株式市場(自由競争で価格の決まる場)の健全性が維持されていて、かつ、
地球上から株式が無くなったり、核戦争が始まったりして、
全ての参加者が市場から退場しない限り、絶対のルールです。
人類の英知の結晶である経済活動は、株価の上がり下がりという動きに関して、
少なくとも長期的には、なんの意味ももちません。
その点は完全にランダムな系であり、人間の生み出した「自然体系」とすら言えます。
サラッと書いてますけど、これって結構、衝撃的な事なんですよ(笑)。
完全にランダムである、ということを明確なルールの下で行ってるのは、
神様と自由市場だけかもしれません。

ただし、これは「上がったか否か」のみがポイントですから、
変更量、すなわち価格がどれだけ上がったのか、は問題になってません。
この4年間で3000円ほど株価が上がったのも運か、といわれると、
多分違う、でも断言はできない、となります。
とりあえず、この点はまた今度の機会に検討します。

というわけで、株価の上がり下がりは、完全にランダムであり、それはベルヌーイ試行である。
だから、そのサンプル数が十分なら、数学的な確率計算の対象となる、ということになります。


■連続の可能性を考えてみる

毎日の上がり下がりは完全にランダムである、となると、その確率は1/2です。
これは疑問の余地なしですが、ここで終わっては長話を続けて来た意味がない。
そこで、幾何分布の考え方を使って「連続して上がり続ける、下がり続ける可能性」を考えます。
…って、前回の原稿で、書いちゃいましたね(笑)。
ここで、連続して一つの目(上がりor下がり)が出続ける確率を確認しましょう。
念のため、再度書きますが、これは1から初めて、その回まで連続で出続ける確率で、
各回を独立して検証する場合、最初の試行でも、100回連続出た後の試行でも、それは1/2で同じです。
では、とりあえず必要そうな部分だけ。

1回:1/2 2回連続:1/4 3回連続:1/8 4回連続:1/16 

5回連続:1/32 6回連続:1/64 7回連続:1/128 8回連続:1/256 

9回連続:1/512 10回連続:1/1024 11回連続:1/2048 12回連続:1/4096

といった所です。あとはひたすら2倍して行けばいいので、各自計算してください(笑)。
12回連続で出続ける確率の段階で、1/4096、実に0.024%まで数字は落ちています。

では、実際に株式市場では、どの程度まで連続するものなのか。過去4年ほどのデータを見てみると、

9回連続 下がった 1回のみ 
計1回

8回連続 上がった 2回あり 
8回連続 下がった 2回あり 
計4回

7回連続 上がった 3回あり
7回連続 下がった 4回あり 
計7回

6回連続 上がった 8回あり
6回連続 下がった 10回あり 
計18回

5回連続 上がった 16回あり
5回連続 下がった 13回あり 
計29回

ここで5回というのは、5回で連続が止まった時、ではなく、
とにかく5回連続が発生した回数です。
だから、5回連続下がった、13回のうち、10回は6回連続につながってます。
6回まで続くのは、本来1/2の確率ですから、6.5回の予想値に対して、
有意(偶然ではない)な差に見えますが、これはサンプルが少ないのが原因でしょう。

さて、ここまでずらっと並べて、連続数が増えるほど、出現率は落ちる、
という当たり前のことに気が付いた人は、それが進化の第一歩。
ここで、各回数の出現確率を、上の分数から計算(1/2なら50%、1/4なら25%…)、
それを今回のサンプル数の980に掛けると、理論的な出現予測値となります。
親切がモットーの私としては、ここで計算して置きましょう。

980回の試行で起きる確率

9回連続出現確率 1.91回
8回連続出現確率 3.82回
7回連続出現確率 7.66回
6回連続出現確率 15.31回
5回連続出現確率 30.63回
(当たり前ですが、以下、倍々で増えて行く)

さ、上の現実に起きたデータと見比べてください。
計算で出せる「理論上の予測値」と、実際に過去980日間での発生回数が、
かなり近似値であることがわかます。
また、10回連続からは980日に1回の発生率を下回ってしまうのですが、
実際の過去データにおいても、これは一度も発生していません。

ということは、逆に言えば、これから先、未来の980日間の株式市場に対し、
上記の確率でそれぞれ連続した上昇下降が起こるであろう、と「予言」できます。
これは、立派な未来予測です。
このように幾何分布を用いる事で、未来に何が起こるのかを予言でき、実際に、大きくは外さないはずです。

問題は「何が」を予言することができても「いつか」は全くわからない、ということです。
使えませんね(笑)。

そうは言っても、もう少し細かい予測もできます。
例えば、今後一年(取引日数で約250日)の間にもう一度、9回連続がある「可能性が高い」。
サンプルが1250日を越えると、その確率は2.44回にまで高まるからで、
今回のサンプル中では、まだ1回しか起きてない以上、その可能性は高いのです。
そして、確率的には「9連続」で「値上がりする」方がまだ起きてない以上、
こちらの発生する「可能性が高い」。

ちなみに、このデータを取った980日前の直前に9回連続値上がりが起きてたら、
あまり意味無いのでは?と思うかもしれません。
が、9回連続で上がった、上がらなかったを1回のトライと見なす「ランダムな試行」ですから、
当然、無記憶性を維持しており、ある期間に一定量発生する、という事実以外、
いつ起きるかに付いては、考慮する必要がありません。
というか、いつ起こるか、はそもそもわからないんですから、考えるだけムダです。
直前に起こっていようが、実際はもっと長い期間起こってなかろうが、検討対象にはなりません。
あくまで、現在のサンプルにおいて「その可能性が高まっている」だけで、
それ以上でも、それ以下でもありません。

ちなみに、今後1年で「10回連続も発生する」「可能性が高い」のです。
これもサンプルが1250日を越えると、1.22回まで可能性が上がって来ますから。
ただ、これに関しては上がるか下がるか「同率なのでわからない」となりますね。

ちなみに、11回以上連続が発生する可能性は、

11回連続 約2000日(無論、株式市場が開いてる日で数える)に1回
12回連続 約4100日に1回(ざっと16年に一回…)
13回連続 約8200日に1回(32年…)
14回連続 約16400日に1回(65年…)

といった感じで、これ以上はもういいでしょう(笑)。
もちろん、あくまで「確率が高い」なので、ある年に「14回連続」が連発して発生する、
という可能性は完全には否定されません。
が、現実的には、13回連続から上は、ほぼ起きない、というレベルと考えていいと思います。

といった感じで、
「人類は未来に何が起こるか、をかなり的確に予言することができる」
んだけれども
「いつ起こるか、については、ビューチホーなまでに無知だ」
というのが今回のお話でした。
よーく考えれば、「いつ」がわからなければ、あまり意味がない、と気づきますが、
それでもそれなりに使える可能性がある考え方です。
もっとも、これを株価の動きに適用する場合、4年で3000円も値上がりしてるのに、
上がり下がりの回数はほぼ同数、という事実から推測できるように、
いくら上がったのか、下がったのか、に関しても無力です。
1000円上がって、翌日10円下がっても、この統計では上がり下がり1回づつ。
使えませんね(笑)。

では、「いつ」と「いくら」の問題は、なんとかならんのか。
原理的にはなりません(即断)。
が、どうも、そのヒントくらいは手に入るんじゃないかなあ、というのが最近の私の考えです。
ただ、それの説明は、今回以上に面倒なんで、まあ、もう少しまとまったら、
そのうち、掲載いたします。今回、みなさんに理解を押しつけて置きながら、
最後まで使わなかった「平均への回帰」もそこでちゃんと使います(笑)。
なので、今回はこれでおしまい。
でわ。

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