
■株価の値動きはランダムな系か否か
それがどうした、と言うと、ランダムでないなら、なんらかの法則性があるはずで、
法則性がある以上、それを見つければ100%失敗しない投資が可能になります。
が、株式市場が銀河系デビューを果たして300年近い時間が経ちましたが、
未だにそのような法則は見つかっておらず、さらに米国などで業界に投入されている連中の
頭脳レベルの高さを考えると、努力や科学技術の問題ではなく、
これはもう最初からそんなものはない、ランダムである、と結論づけていいような気がします。
まあ、「気がする」というのでは、あまりにアレですから、もう少し深く考えてみましょう。
で、その前にどこまで深く考えるのか、を決める必要があります。

日経平均株価の約2カ月強の値動きのグラフ。
ご覧のようにジグザグで、デタラメな動きになります。
ここになんらかの法則性を見いだせる人は、「人類が待ち望んでいた天才」か
「間違っても友だちになってはいけない人」のどちらかでしょう。
とりあえず、私は友だちになるのは遠慮しときます。
ちなみに、この無指向性、無規則性のグラフを、アッパラパー開放型、
と個人的には命名しております。
実はエクセルなどの表計算ソフトで適当な乱数を発生させ、それらを足し算してゆく、
という単純な作業で、株価グラフとよく似たグラフを造ることができます。
で、パソコンで造られる乱数は、2進数で書かれたプログラムに従った「人為的な擬似乱数」です。
日経平均株価の値動きが、それと似たようなものになるということは!つまり!
日本の株価はM78星雲から来た知的生命体X&フリーメンソンにより、
念密に組み上げられたコンピュータプログラム、それによって
地獄のボンダンスを躍らされてる可能性があるんだキバヤシ!ジャーン!
どういうことだ、ナワヤ!ニャー!
まあ、そう主張する人が出てきた場合、これを明確に論破できるのか、という問題ですね。
一見ランダムに見えるグラフも、そこに人為操作がない、と断言できるのか。

エクセルのRAND関数で、前回の結果に次々と新たに乱数を加算してゆくと、このようなグラフができる。
(負の数が扱えないので、幅150の乱数なら半分の75から引く式、=75-(RAND()*150)とする)
パッと目でこれが株価のグラフなのか、エクセルで造った適当なグラフなのか、
見分けられる人はほとんどいないと思う。
ただし、ある程度調べると、エクセルで造った乱数のグラフはやや行儀がいい、
要するに爆発的な暴落、暴騰があまり見られない、といった特徴があるようだ。
人為乱数の限界、というところだろうか(あくまで「なんとなく」のレベルだけどね)。
そもそも巧妙に造られた人為乱数(軍事暗号用とか)は、そう簡単に見分けられないからこそ
意味があるわけで、それを見分けるには理数系大学レベルの確率統計学知識があってもムリです。
それこそ、世界の最先端クラスの頭脳とスーパーコンピュータを一台、最低でも借りてくる必要があるでしょう。
なんで、この問題を正面から扱うなら、この原稿はここで終わり、となります。
…それも楽でいいなあ…。
しかしまあ、現実的に考えて、日経平均株価の値動きが、高度に計算されたプログラムによる、
なんて事態はまずないだろうし、そこまで高度な人為乱数なら、むしろ問題はないでしょう。
なので、ここでは単純に、株価の値動きに法則性はあるのか否か、人為であれ天然(?)であれ
それは乱数系と見なしてよいのか、という点だけを考えます。
手抜きは人類の英知です(長い前フリ終わり)。
■値上がり&値下がりにのみ注目すると、
それはランダムな系なのか
前回の原稿でも少しふれましたが、今回は、株価の値下がりと値上がりのみを取り上げます。
で、株価には終値というのがありまして、毎日、最後につけた価格を記録してゆきます。
これが前日と比べて、上がったのか、下がったのか。
その点のみに注目します。何円上がったのか、なども一切考えません。
ちなみに、厳密には値動き0円の可能性もあるので、
「上がった」「上がらなかった」といった区分になります。
では実際の株価の動きを追いかけてみましょう。
今回は膨大な取引量があって、特定の個人、団体による価格操作がほぼ不可能なものとして、
東証一部上場株の代表銘柄価格を元に計算される、日経平均株価をとりあげます。
厳密には株式の価格ではないのですが、これを対象とした投資信託や、先物市場が存在し、
自由市場の価格決定プロセスには密接な関係を持ちますから、問題ないでしょう。
ここでは2008年1月15日からさかのぼり、約980日分(ほぼ4年分)のデータを使います。
株価が上がったか下がったかのどちらかが、ランダムに出現するだけなら(これは2進数とみなせる)、
要素数の490倍のサンプルですから、前回説明した大数の法則、
サンプル数は多ければ多いほど、理論上の予想確率に近づく、という点についても、十分だと思われます。
で、この間に、値上がりした日は509日。値下がりした日は471日でした。
ここで乱数のルールその2(1は後で考えます)、乱数に含まれる数字の出現率は、
確率的に予想される数値にほぼ一致する、という点を考えてみましょう。
含まれる要素は値上がりか値下がりか、の二つしかありませんから、予想される確率は1/2で、50%。
値上がり回数が509日なら980日の51.94%、よって予想確率から、約1.93%のずれがあります。
今回の原稿で最大のポイントは、このズレを誤差と見て良いか、なのです。
個人的には見なしていいと思う…、というかここで見なさないと話が進まないし(笑)。
根拠を説明すると、この4年間には、自民党の衆院選圧勝、参院選惨敗、ほかにライブドア事件などまであり、
株価も、3000円以上値上がりしてます(08年アタマの暴落がなければ4500円近かった)。
それでも、値上がり、値下がり回数というポイントに絞って見れば、値上がり率51.94%、
値下がり率は48.06%と、ほぼ五分五分になるのです。
乱数の条件その2は、クリアしてると思います。
では、乱数の条件、その1、独立性についてはどうなのか。
もうあまり大きな回数をカウントするのは面倒なので(最低野郎)、この2カ月の内、
「値上がりした翌日」に、株価は上がったか下がったかを見てみると、
翌日も上がった8回、翌日は下がった8回で、キレイに50%の確率で分かれます。
つまり前後の試行は、次回の試行に対し、無影響です。
ちなみに、私がデータを持っている過去4年間で、歴代2位記録となった、
8日連続値下がり!という事件もあったにもかかわらず、この結果。
以上から、これは乱数系である、と判断して問題はないと思われます。
NEXT