■正規乱数の魔力



さて。
株式、先物、外貨為替市場といった、自由市場において利益を得るには
「安く買って高く売る」「高く売って安く買う」しかありません。
が、需要と供給によって常に変化し、定価の存在しない自由市場において、
もっとも難しいのがこの「現在の価格は安いのか、高いのか」の判断です。
同じ株式の100円でも、前日まで200円だったのと、50円だったのでは話が全く異なります。
実際はもっと微妙な数字ですから、そう簡単には判断できません。

そこで今回の記事では、現在の価格が高いのか、安いのか、
おおよその目安が付けられる方法、判断基準を見つける事を目的とします。

もっとも、これはあくまで「セーフティネット」であって、大損をしないための安全策でしかありません。
これでウハウハ株式で大もうけ、という話ではないです。
が、理解していただければ、アタマを抱えるような損失を出すことはなくなるでしょう。
また、使いようによっては、当然「攻撃的な」戦略に投入もできますが、
その方向に関しては完全に保障外扱いとなります(笑)。

ただし、今回も確率に基づく話ですから、常にイレギュラーの発生があります。
大筋で3%以下ですが、1年で見れば10回近いタイミングで、予想は外される可能性があります。
で、今回の話は、イレギュラーの回避はあきらめて、
残りの97%で損失をカバーして行く、という前提で書かれてます。
そんなわけで、言うまでもなく、「完全無欠な理論」ではありません。
その点は決してお忘れなく。

思った以上に前フリが長くなってしまいました(笑)。
さて、では今回の話で使われる「道具」を最初に確認しましょう。

●正規乱数&正規分布

●平均への回帰

●標準偏差


この三つだけ。今回は、話を進めながら、随時、説明して行きます。
一瞬、正規乱数ってなんだランスー、などと思うかも知れませんが、
大丈夫、タスマニアタイガーに将棋で負ける、
と絶賛された頭脳を持つ私でもあっさり理解できる話ばかりです。


では、さっそく本題に。
株式市場、先物市場、為替市場などなど、自由市場の価格の上がり下がりを長期的に見ると、
全く法則性を見出せない、ランダムな世界です。
ここが今回の話の大前提となる部分なので、簡単にその証明をしておきましょう。
今回もサンプルには日経平均株価を使用します。

毎日の株価の上った金額、下がった金額を記録して(今回のデータは過去5年分)、
それを-600円以下、-400円以下、-200円以下、200円以下、400円以下…
と分類、それぞれの回数を散布図グラフにしてみるだけでオッケー。結果は、以下の通り。



ほぼ完全な、釣り鐘型グラフになりました。
日本人の身長別分布などと同じ種類の、典型的な正規分布のグラフです。
正規分布グラフになった、と言うことは、株価の上がり下がりの動きは正規乱数、
つまりランダムだ、ということを意味します。
ここら辺はちゃんと説明すると結構面倒なので、今回はとりあえず
このグラフになるのは正規乱数なんだ、と思ってください(手抜)。

このグラフで、0〜350の縦軸はサンプルの数、横軸が価格の上下額(単位は円)ですから、
大きく盛り上がってる価格帯ほど、そのサンプル数が多いことになります。
グラフでは、中心にあるのが平均値(今回は約2.2円)ですから、
その周辺(おおよそ+-150円以下)が、数的には最も多いことになります。
この「平均値をピークとし左右対称の山形を描く」というのが正規分布グラフの特徴ですね。
(平均値から離れるにつれ、どんどんサンプル数は減って行く)

で、実は、正規分布のグラフは、確率の計算によって、
その分布内容をかなり厳密に「理論的に予測」することができます。
この計算方法も省きますが(チョー手抜き)、正規分布ならすべて同じ数値となります。
結果だけ書くと、全体の標準偏差(後で説明します)の価格範囲内に
プラス、マイナスともデータ全体の68.3%、標準偏差の2倍の範囲内にデータのうちの95.45%、
3倍の範囲内に99.73%が収まる、ということが「確率的に予測」されます。
だいたい標準偏差の3倍までが現実的な数字で、
その外(0.27%だ)は事実上、イレギュラーの世界と考えていいでしょう。

ちょっと、わかりにくいですね(笑)。
これを、実際の結果に当てはめてみれば少しは理解しやすいはず。
そこでさっそく上のグラフに使った過去5年間における「現実世界の価格差の分布」と、
この「理論的予測値」とを比べてみます。
この過去5年間における価格差の標準偏差は約172円でした(標準偏差の計算法もまた後で)。
よって、プラスマイナス172円の値動きの範囲に全体の68.3%が、344円(2倍)の範囲に95.5%が、
そして516円(3倍)の範囲内に全体の99.73%が収まる、というのが確率による「予測値」になります。
では、実際はどうなのか。



上の説明を実際のグラフに当てはめると、こんな感じ。
標準偏差3倍、+-516円までの幅にほとんどが含まれてしまってるのがわかりますね。

が、これでは細かいとこまで読み取れませんから、
実際のデータ数値をカウントして見ると、プラスマイナス172円以下の日に全体の約67.7%、
2倍の344円以内に94.4%、3倍の516円以内に全体の97.4%が収まっています。

おお、見事に確率の予測値と現実の数字がほぼ一致していますね。
つまりこの5年間、日経平均株価の終値の約2/3はプラスマイナス172円以下の値動きだったわけです。
さらに344円まで基準を広げると、全体の9割以上がそこに収まります。

そして、これは今後も同じような分布を見せるはずです。
確率は何が何%の確率で発生する、というのを正確に予言します。
ただし、いつ起こる、というのがわからない、というのが欠点でしたが、
それはまた、「時間の拘束を一切受けない」ということでもあります。
過去のデータが確率計算と一致する、ということは常に、どの時間でも一致します。

すなわち未来予測が、可能。
(で、いきなりなんですが、今回はその手前まででオシマイにしますが(笑))

どうです、少しは面白くなってきましたか(笑)?


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