地球が丸いから、戦争は大変だ
地球は丸い。
だからどうした、というと、近代の戦争においては、
結構面倒な問題が起きるアルヨ、というのが今回のお話。
大丈夫、なんかつまらなそうだ、と思ってるのは私も一緒です(笑)。

上で見てきた連中に言わせると地球は丸いらしい。
えー、そうなの?と高度8000mから見てみると丸いような気もするし、
そんなわけあるか、どう見ても平らじゃん、という気もする。
でもって、ここから見えるあの地平線までの距離はざっと320kmなんだよ、
といような話が、今回は展開されると思ってくださいませ。
地球が丸いと何が困るでまんねん、
というと最初に問題になるのは遠くが見えない、という事。
わざわざ図で描く必要もないだろうが、通常、光は直進しかしないから、
地平線の向こうは地球の影になって見えませぬ。
そして、この地平線までの距離は、意外に短く、
おおよそ人間(水面上2mくらい)の視点の高さから見た場合、
せいぜい5km前後の距離しかないのです。
歩くと1時間以上かかる距離だけど、車や電車ならせいぜい数分の距離。
近代戦争においては、目と鼻の先と言っていいでしょう。

意味も無く親切をモットーとする当サイトですので、図解してみました。
オレンジの線が彼の視線を示します。
水平線の手前、赤くないエリア、つまり地球上で見えてる部分を増やすには
視点の位置を維持したまま、パチえもん(仮称)さんが
どんどん後ろに下がる必要があります。
それはすなわち、地面からどんどん離れてゆく、
つまり視点の高度を上げる、ということなのだ、
という点も同時に理解していただけると幸いです。私が。
さて。
射撃兵器の射程距離を伸ばす、というのは
人類登場以来、常に兵器開発における最大の目的の一つでした。
相手より遠くから弾を撃ち込めれば、敵が手も足も出ないうちに、
一方的に叩きのめしてしまうことができる可能性が高くなるからです。
よって、19世紀以降、製鉄技術の発展に伴い、鋼鉄の剛性が増し、
より強力な炸薬の使用が可能になると、大砲の射程距離は、どんどん伸びて行きました。
第一次世界大戦時に登場したドイツ謹製のパリ砲なんて
射程距離で120kmを超えてますから
もはや地平線の彼方とかいってるような距離ではないですね(笑)。
新幹線でも30分近くかかる遠距離から砲撃してくるわけですから、
まあ、第一次世界大戦当時では、対抗手段はちょっとないでしょう。
その代わり、砲弾はせいぜい100kg程度だったらしいので、
兵器としては、ほとんど意味がありませんけども。
が、そこまで極端ではなくとも、第一次世界対戦前、
20世紀に世界が突入したあたりから、
普通に撃ったら地平線の彼方まで弾が飛んで行ってしまい、
敵に当たったのかどうか、見えない、見当もつかない、というマヌケな状況になる、
という長大な射程距離を持った大砲が登場しはじめるのです。

パリ砲ほどではないが、我らが陸上自衛隊の203mm自走榴弾砲も
軽く20kmを超える射程距離を誇る。
山だらけの日本で、どうやって狙いをつけるのかは知らないが、
とりあえずこういうのを見ると、
税金払っててよかったと心から思いますよね。
…私だけですか?
で、パリ砲の場合、標的の都市、パリは機動力を持っておらず、
ローマ人が例によって川沿いの植民都市として建設して以降、
一度も動いたことがないのでなんとかなったわけです。
相手の位置がわかってる以上、射撃位置が決まれば、後は幾何学的な計算で、
どちらの方向に、どの角度で、どれだけの強さ(炸薬の量)で撃てばいいかはわかりました。
この数学が戦争を支配する、という傾向は近代戦の大きな特徴の一つですね。
そして相手が動かないなら、一度計算してしまえば修正計算とかも必要なく、
それで終わりなので、電卓すらない時代でもなんとかなったのでしょう。
が、パリは動きませんでしたが、通常の戦争においては、大抵、敵は動いています。
そもそも、最前線においては、相手がどこにいるかすらわからないケースが普通で、
例外は要塞戦くらいのものでしょう。
見えないんじゃ、戦争にならないのです。
だから射程距離10kmのチョー飛びます砲の開発に成功したよ!
やったぜ博士!イェー!
といった事態になっても、単純には喜べないんですね。
そんな遠くの相手は、地球上で戦争してる限り、見えないんですよ(笑)。
見えなきゃ狙いようがない。
人類で、最初にこの点を解決する必要に迫られたのは、
遮蔽物が無い戦場で、巨大な大砲を搭載して戦う事になる
19世紀末以降の各国海軍でした。
なので最初は、海軍の問題から見てくことにします。
地球上いる人類には、せいぜい5km先までしか見えません、もうだめです、サヨウナラ、
という問題を解決するもっとも単純な方法は、高い所から見ればいい、ですね。
上の図に描いたような幾何学的な理屈なんか知らなくても、
高い山やビルに登ると、より遠くまで眺望がきく、というのは誰もが経験しているはず。
当然、海の男たちもそのくらいの事は知っており、見張り台は帆船の時代から、
船内でもっとも高い、マストの上部に置かれることになります。

ほんの10m程度の高さに登っただけでも、
その最大視距離は格段に延びます。
高度2mではせいぜい5km前後だったのが、
高度10mだと約11km先まで見えます。
急にエラくなったような気分になるのはそのためです(私だけ?)。
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