■フォローして黄昏

さっそくでヤンスが、前回の最後に書いた数式のフォローが必要だ(笑)。
理屈はどうでもいいや、という人は、このページを読み飛ばしてかまいません。



実は、前回の計算式では地球大気の存在を無視していました。
この点はちょっと説明が要りますね。
電磁波、すなわち可視光や紫外線&赤外線、さらには電波、毒電波などは屈折します。
(光と電波は同じ電磁波、というのは今後の記事でちょっと意味があるので覚えといてください)
この連中はやる気もなく根性もなく、信念もないので、
空間に物質(空気とか水とかガラスとか)が満ちている場所で
密度の異なる空間へ突入すると屈折、すなわち曲がってしまいます(折れる)。
水中から外を見たり、あるいはお風呂のお湯の中を上からみるとゆがんで見えるのがそれです。

でもって、地球の大気は高度、場所、そのほかの要素によって、
実は気温にかなりのバラつきがあります。
気温が異なる、と言うことはこれは密度が異なるわけで、
困ったことに大気中を進む光は屈折するんですよ、コンチキショウ。
余談ながら、屈折する以上、大気中の光速は宇宙空間より遅いはず。

光は屈折しながら一種の放物線のような軌跡で人間の目に飛び込んで来ます。
その結果、視点と直線で結んだ水平線の位置より向こうにある光、
つまり水平線の向こうにある景色が見えてしまう、という事になるのでした。

…実は低高度の最大視距離を考えるだけなら、
この屈折による変化は誤差の範疇だろうと思ってたんですよ(無知)。
が、あの記事を書いた後で念のため計算してみたら、
8.7%前後の差となるため、最大視距離30kmとかの話だと、
2.5km近い誤差が出ることに気が付きました。
ちょっと無視できませんね。

ただし、この点は注意する必要もアリ。
「大気中の光の屈折率を考慮した水平線」までの距離は
視地平距離と呼ばれるのですが、
これは平均大気差という数字(角度)を使って計算で出します。
が、この平均大気差はある種の「経験的実測値」に近く、
厳密なデータや理論に基づくものではなかったりします。
「大筋では正しいけど間違っても正確ではない」んですね。
よって、その時の大気状態でその影響は大きく動きます。
なのであくまで参考値、として考えたい所。

でもってこの計算式は、前回紹介したピタゴラスの定理を使ったものを
ちょっと変形するんですが、考え方は簡単ながら、
キチンと説明するのは結構面倒なので図解と途中の計算は省きます。
(わたしの苦手なラジアンの計算をキチンと説明する必要があるのです…)

で、この視地平距離を求める数式は最終的にまとめると

となります。
一般に船舶やら天文計算(水平線から星の角度を出す時使う)で使われるのは
この計算式のようです。

ただし、これは海の男向けで、高さの単位はメートルのままでいいんですが、
答として出て来る数字はノーティカルマイル、海里の単位。
なので、メートル数字で計算しなおすと、



前回はkmで数字が出てくるようにしたんですが、
今回は面倒(最低)なので、メートルで答が出てきます。
とりあえず、これでガマンしてくださいませ。
計算してみると、純粋に算数で出した水平線までの距離より約8.7%ほど長くなるはずです。
相手も高さがある場合は、前回と同じように自分(視点の高さ1)と相手(視点の高さ2)の
それぞれの視距離を足してやればいいわけです。




平均大気差を使って大気の屈折を考慮すると、上記のようになります。
が、これ、ホントに気温、気圧、水蒸気圧でコロコロ変わる数字なんで、
決して完全ではあません。

なので、今回の記事では、上記の計算で出る数字と、
前回の純粋に算数で求められる数字の平均値を採用しようと思います。

はい、難しい話はここまで。

次ページから、ようやく本題に戻ります。
前回、主砲の射程距離が40km近くあっても
戦艦の艦橋から見える水平線は22〜25kmぐらいなもんだから、
水平線の向こうにいる敵に砲撃することになるよ、
それってどうなのよ、という話をしました。
今回は実際にそれで弾が当たるのかどうか、をもう少し突っ込んで考えてみます。

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