■こんだけズレまんねん
数字だけではどうもイメージがつかみにくいので、
図にしてみましょう。私が。…また私が(涙)。
こんなに作図と計算ばかりしてる記事は初めてじゃよ…。
前回の計算結果、距離35kmで「最大誤差1600m」とはどういった意味を持つのか。
とりあえず戦艦相手に計測した場合を考えます。
イラストはアメリカのアイオワ級戦艦ですが、
適切な資料写真がなかったので、多少全体のバランスが変かもしれません。
その点はご容赦願います。

計測した時、最大1600mずれている可能性がある、ってことはこんな感じ?
いや、これは最大ではないですね。

測定誤差最大1600mとはこうだ!
あれ?と、いうことは…

おお神様、これもありですよね?
と、なると…

こういう事なのか……
こ…こういう事なのか、ジョー!
つまり、戦艦アイオワが35km離れたAというポイントにいるザマス!
と測距儀で測定した場合、実際はそのA点の前後最大1600m、
すなわち全体で最大3200mの距離のどこかにいる、という所までしかわからない。
それ以上は絞り込めないし、どこに居るかは運次第。
実はドンピシャで誤差0mの可能性もあるし、1600m彼方の可能性もある…。
「ここから前後3200m以内のどこかに全長200mのアイオワがいます」
という所までしかわからないんですよ。
量子論の世界で電子の位置を予測してるような気分…(涙)。
アイオワの全長を200mとすれば、その最大16隻分の長さですから、
「アイオワ忍法16分身の術でガンス」
といった状態で、その中からホンモノを見分ける必要があるわけです。
空母や巡洋艦も似たようなサイズですから、条件は同じ。
こりゃ完全にギャンブルですぜ、長官…。
ちなみに距離30kmの時でも最大長は2300m(11.5隻分)、25kmで1600m(8隻)、
20kmで1000m(5隻)、15kmで560m(2.5隻)の誤差幅が避けられません。
うーん、これだと20km以上では、ちょっとキツイですよ、どう計算しても。
しかもこれ、相手が横向きの場合ですから、
より幅の狭い正面から見た場合、さらにヒドイことに(泣)。

最大3200mの測定不能範囲を、1マス200m(戦艦、空母、巡洋艦の全長)の16ブロックに分け、
船体の全長の55%以上が入ってる(誤差100m前後となる)ブロックを「正解」としましょう。
狙ったり、流れを読んだり、という駆け引きは「見えない相手」に対して不可能ですから、
これは完全にランダムな系であり、観測者がどのブロックを引くか(数字を読み取るか)は
全て同じ確率となります。1/16ですね。
この場合、測距儀の計測で「正解」を引き当てられる可能性は常に1/16で、
それ以上にもそれ以下にもなりません。
また、どのブロックも常に1/16の確率で正解となる(船が居る)状態になります。
これはサイコロの目の出る確率&予測と同じパターンですから、
当たるかどうかは、運以外の何者でもありません。ギャンブルです。
よって、35kmの距離で測距儀を何のミスもなく人間が計測しても、
誤差100m以内の「正解」を引き当てられる可能性は、
常に1/16、6.25%ということになります。
ついでに、これは相手が横向き、最大長で見えてる時ですから、
正面向き、全幅33m前後、1ブロック33mの状態だと、えーと、正答率1/97…か……。
で、この数字は「砲弾の命中率」ではなく、その前段階「目標照準の正答率」ですから、
当然、この後で実際に砲撃して、その砲弾が命中、あるいは至近弾となる可能性は、
さらに低下することになります。
海軍の砲撃は初弾で直撃を狙わず(狙えず)、照準したらとりあえず撃って見て、
最初の着弾のズレた方向を確認、その後、少しずつ修正して命中するまで繰り返し、
という感じでやりますので、初弾がとんでもないあさっての方向に飛んでゆくと、
その後の段取りが全てパーとなります。
一からやり直しで、実戦に置いては、絶望的なレベルの時間が無駄になります。
1600mも向こうに着弾した日には、あーた…。
35km先だと、そもそも到達までに1分近くかかってますんで、
その後、修正して再射撃には最低でも数分かかります。
こちらの至近弾が出るまで待ってくれるジェントルマンな敵艦はあまりいませんので、
その間に相手の砲弾が至近弾になったら、
おそらく修正をかけた次、遅くともその次の砲撃で直撃を食らう可能性が高いです。
先手必勝なんですよ。
そこで、こんな精度の照準しかできないのは自殺行為です。
まあ、相手も同じ測距儀による照準、砲撃なら問題ありませんが、
残念ながら、今回の敵はレーダー持ってるアメリカ海軍の戦艦、という事になると、
確実に待っているのは地獄です(涙)。
イヤーン
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