■己の目を信じるのだ

では、最も重要な相手の位置の計測、つまり方向、距離をどうやって測るのか。
一つの方法が、レーダーです。
21世紀においても、これがベストで完成形となっています。
そして、今回のお話の主題になっている(なってるんですよ)
第二次大戦期も、レーダーを使える状況なら、これを使うのがベストでした。

我らが日本海軍の軍艦にも、一応、その装備が付いてましたが、
「付けてると、なんとなく艦橋がお洒落に見えるじゃん?」
というだけの理由で搭載していたため、
「そろそろこの戦争終るけどどうする?」
「えー?マジで?」
という段階になってもあくまで目測、目で見て測って砲撃する、
というのが基本でした。
大戦末期には一応、レーダーによる射撃指揮もやってますが、
とても主流にはなりませんでした。

人間が中心に居る、ハートフルな軍隊を目指していたのでしょう。
それはそれで一つの道です。
戦争なんて、勝つのを諦めれば、いくらでもやり方はあります。



日本の戦艦は、艦橋のテッペン、あるいはその下あたりに、
丸で囲ったビニールパイプを横に置いたような装置が付いてます。
ちょっと暗くてわかりにくいのはご容赦。

これが側距儀で、あのパイプの左右には目標を見るための望遠鏡が入ってます。
日本海軍のは確かニコン製だったはず。性能は…(笑)。
でもって、この左右の視点の視角差で相手までの距離を出します。
例によって三角関数を使うわけです。
原理的には、三角測量とやってる事は同じはず。



こちらは艦橋のトップに。
その上についてるのはレーダーのアンテナです。
ね、付けてるとなんとなくカッコいいでしょ。それで十分。
ちなみに、主砲の側距儀は「できるだけ遠くが見えんとあかん」ので、
艦橋トップにありますが、下の丸の中にある対空式用の側距儀なんかは
比較的低い位置にあったりします。


で、このハートフルな計測手段にはいくつか、弱点があります。

■雨が降ったらダメ(笑)

当たり前ですが、目で見て距離を測るので、見えなければアウト。
で、雨が降ってる場合、おおよそ視界は3〜5km付近まで落ちますから、
主砲の射程距離が何kmあろうと、照準不能です(泣)。

■空気が澄んでないとダメ

通常、晴天時では10km以上の視界が確保されますが、
なにせ水の上ですから、気温が上がれば水蒸気が出てきて視界は遮られます。
冬の朝などに、夏場には見えない遠距離の山が見えたりするのは
光を拡散させる水蒸気が少ないく、視界が効くからです。

逆に夏の水蒸気ムンムンの状態では
遠くは霞んでよく見えなくなってしまいます。
海面上、しかも太平洋南部で活動することが多かった
日本海軍にとって、清純な乙女の心のように澄んだ空気は貴重、
かつある意味必須と言う結構厳しい状態に。

ちなみに、前回少し触れたサマール沖海戦で、栗田艦隊の大和艦橋から、
アメリカの護衛空母部隊を35km前後の距離で発見したのは午前6:50前後、
まだ水蒸気の発生してない、朝の澄んだ空気のド真ん中でした。
(天候は曇り)

■精度の問題

側距儀の左右幅は最大でも15m前後。
それが三角形の一辺となり、のこり2辺が敵艦までの距離です。
すなわち20km、20km、0.015kmの三角形とかになります。
このいびつさで、精度を求めるって方が無茶だよなあ…
というのがわかっていただけるでしょうか(笑)。
計算してませんが、手元の1mmの狂いは、相当な距離の狂いとなるはずで、
もう原理的に無茶だろうと…。


…といったハートフルな軍隊特有の問題を踏まえ、
今回はここまでです。
中途半端ですね(笑)。
いや、書くほうはえらく大変なんですよ、この記事…。

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