■アメリカもよくわからない

最後は祥鳳撃沈後までのアメリカ側の動きを確認。
当時、この海域は東向きの風であり、攻撃隊の発艦と収容のため、
それに合わせて航行してるのがよくわかる航跡となってます。
空母艦隊決戦では風向きが重要な要素になるのです。

ちなみに赤い点線が攻撃隊のおおよその飛行針路を示してますが、
この辺り、正確な記録はないので、ある程度推測です。
とりあえず空母機動部隊がこの攻撃部隊を迎えるため、
大きく北上してるのを見て置いてください。

 

朝から北上していたTF-17が敵との必殺の間合いに入ったと判断した後、
風上の北東に変針してその攻撃部隊を発艦させてますが、
(実際は200海里以下、350q前後と近づきすぎていたのだが)
例のUSSレキシントンの航路図によると、9:09分、
すでに攻撃隊が発艦開始してる時間でもまだ北に向かっていた事になっております。

この一帯も風は東向きですから、普通ならあり得ない話で、
●この時間帯だけ、なぜか北風だった
●例によってこの航路図の記載ミス
のどちらかでしょう。
が、とりあえず判断する材料がないので、ここではそのまま掲載しておきます。
正解はおそらく後者だと思いますが…

その後の段階からは、USSレキシントン、USSヨークタウン両艦の
攻撃隊発艦のため、長距離の東向きの航行に入ってるのが見て取れます。
さらにその後は、敵から距離が離れすぎるのを避けるのと、
攻撃隊を迎えに行くため北上を開始。
ここで一部が蛇行してるのは、おそらくUSSヨークタウンの索敵機が
次々と帰還してしてきたため、その度に東に向かったから。

その後、攻撃隊迎え入れのため、西に向かうのですが、
しばらく後、なぜか再度北東に変針してます。
この辺りは対潜&上空警戒用の機体の発艦をやっていたのかもしれません。

最後に南緯12度付近まで北上後、攻撃隊を迎え入れるため、西に変針、
そのまま長距離を直進して進み、
12:30頃、東に反転して、攻撃部隊の収容を開始してます。

この時IFF(敵味方識別装置)をつけてないUSSヨークタウン攻撃隊が
かなりバラバラに帰還して来たようで、
索敵機帰還の時と同じようにUSSレキシントンのレーダーでは、
敵か味方か全く判別がつかず、軽い混乱が再び起きてます。
この時は、IFFを積んだUSSレキシントンの機体と編隊を組んで
母艦に向かわせ、これによって味方機であることを確認したようです。

最終的に13:15頃、全機の収容が終了、艦隊は一度西に反転、
直後にさらに南に変針して、そのまま直進してます。
これはほぼ朝の地点に戻る航路になりますが、
先に述べたように日本側の主力部隊、五航戦がまだ北西に居る、
と判断して、一時的にその攻撃圏内から逃れるためでした。

この時、航路上の14:05地点の手前辺りからスコールを伴う暴風圏に突入し、
このため、アメリカ側の空母機動部隊TF17は
一切索敵機を飛ばせなくなってしまいます。
スコールの上は積乱雲の可能性が高く、そんなとこで飛行機を飛ばした、
あっという間にほとんどの機体が墜落してしまうからです。

さて、ではそんな索敵すらできない状況のアメリカ側に
すでにその位置を大筋で掴んでいた日本のMO機動部隊はどうしたのか、
という当たりを次回、見てゆきましょう。

はい、今回はここまで。


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