■流れは常に乱れてる

とりあえず粘性係数(粘度)を見れば各流体ごとの
粘性の力の大きさは比較できるようになりました。

が、実はこれだけで粘性による流体への影響は終わりではありません。
速度以外にもう一つ、流れの変化がどれだけ伝播しやすいのか、という問題があるからです。
つまり、どこかで流れが乱れた場合、周囲がその影響を受けやすい流体、受けにくい流体が存在します。
この影響度に関しては、粘性係数(粘度)だけでは判断がつかないのです。



流体が物体にぶつかると、その表面に沿って迂回して流れます。
この「なんらかの影響で曲がった流線」が
周囲の別の流線に、どれだけ影響を与えるのか、という話です。
その影響力が小さければ、流れの乱れは物体の周辺に限定され、
大きければ、広範囲に広がる事になります。

他の流れの変化に押され、どれだけ影響を受けるか、という話ですから、
これは「流体の動かし難さ」の問題になってきます。
となると質量が要点になる、というのは
この記事を読んでくださってる皆さんならすぐ気が付くと信じてますが、
流体が対象ですから、例によって質量ではなく、密度で見る事になります。

なので先に見た流体の粘性の力を示す粘性係数(粘度)と、
それ対する密度の比を取ってその影響の受けにくさを示し、
これを動粘性係数(動粘度)と呼びます。


動粘度(動粘性係数)=粘度÷密度

ν=μ/p
(動粘度の記号はギリシャ文字の(ν)ニュー)

式を見れば分かるように密度が低い(質量が落ちる)ほど数字は大きくなります。
この動粘度の数字が大きいほど、流体は動きやすく、
流れの変化が周囲へ強く影響を及ぼす事になります。
これは密度が低いほど流体は軽くて動きやすくなり、
周囲の流れの影響を受けて引っ張っられやすくなる、と考えておけば問題ないです。

参考までに同じ20度の水と大気を
地表近くの気圧条件で比較した場合、以下のようになります。
(これも数字は理科年表による)

 

密度 

 動粘度

 水

 998.2kg /mmm

 1.004 × 10^-6 mm/s

 大気

 1.2kg /mmm

 1.512 × 10^-5 mm/s


動粘度ではケタ一つ、文字どおりケタ違いに大気の方が数字は大きくなってます。
これは密度がケタ違いに小さいからで、この軽くて動かしやすい特性から、
「流れの乱れに影響を受けやすい」という特徴を、大気は持つのです。

これは覚えて置いて下さい。

とりあえず今回はここまで。
次回はこれらの粘性が生み出す、渦から乱流、そして慣性抵抗まで進みます。
その上で流体力学のハイライト、レイノルズ数まで一気に片づけますぜ

……多分。


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